侵略者を撃つな! 45

 校長が振り返ると、先ほどの先生が駆けて来るところでした。

「ん、なんだね?」

 先生が校長の前で立ち止まり、横目で立派なドアを見て、

「ここじゃなんですんで、中でお話しましょう!」

 それを聞いて校長は、何か不穏なものを感じました。

「わかった」

 2人はドアを開けました。


 ここは校長室。部屋の中央奥に執務机があり、部屋の中央にはソファセットがあります。校長と先生が今このソファに相対して座りました。まず校長が切り出しました。

「何があった?」

「実は・・・ また金目ひなたがカツアゲ・・・ 恐喝をやってるという報告を受けました」

「は~ またか・・・」

 と言うと、校長は右手で頭を掻きました。そして質問。

「誰が訴えたんだ? また匿名か?」

「真田希望のぞみ。私のクラスの女子です」

「君のクラスの・・・ てことは、金目ひなたと同じクラスか・・・」

「はい。被害者もこの前の報告と同じ山際怜子でした」

「この前の報告は、匿名の手紙だったな」

「はい。今回とまったく同じ内容でした」

「この前は匿名の手紙じゃ信用できないと結論付けたが、今回は直に言ってきたか。は~・・・」

 校長は金目ひなたの父親を思い浮かべました。金目ひなたの父親は3者面談にも授業参観にも毎回来てたのです。そのたびに校長は金目ひなたの父に直にあいさつしてました。

校長はぱつり。

「金目ひなたの父親は高級官僚キャリア。ふつーに考えたら仕事に多忙で子どもの教育はおざなりになると思うが、あの父親は娘の3者面談にも授業参観にも有給を取って学校に来るくらいの教育熱心。そんな父親にあなたの子が恐喝してると報告したら、われわれはどんな報復を受けることか・・・」

「ここは静観するしかないんですか?」

「う~む・・・」

 校長は黙り込んでしまいました。公立小学校の校長や教師は公務員。どうやらこの2人はただの木端役人だったようです。

 なお、匿名の手紙を送付したのは広川雫でした。毎日毎日金目ひなたにカツアゲされる山際怜子が不憫になってしまい、内部告発に踏み切ったようです。けど、広川雫の告発も真田希望のぞみの告発も完全踏み潰されてしまうようです。


 ここは小学校の廊下。山際怜子がランドセルを背負ってとぼとぼと歩いてきました。そこに1つの人影が立ちふさがりました。はっとする山際怜子。ま、またあいつら?・・・ が、その人影は真田希望でした。安心する山際怜子。

「なんだ、真田のんちゃんか・・・」

山際れいちゃん、安心して。全部先生に話してきたよ」

「え・・・」

「もうあいつらにカツアゲされることはないよ!」

 すると山際怜子は急激に血相を変え、怒鳴りました。

「もう、なんでそんなことすんのよ!」

 すると今度は、真田希望のぞみが顔色を変えました。

「なんでよ!? 全部山際れいちゃんのためにやったことじゃん! なんで嫌がってんのよ、こんなに?

 山際れいちゃん、あいつらに何か秘密を握られてるみたいだけど、これはいくらなんでもひどいよ! あんなやつらのいいなりになってちゃだめじゃん!」

 山際怜子は黙ってしまいました。真田希望のぞみ

「いくらひなたたちでも、先生が注意したらもう絶対カツアゲしないって!」

 山際怜子は応えません。それを見て真田希望のぞみはじれてきました。

「ああ~ もう! わかった! じゃ、今日からは一緒に帰ろ!」

 山際怜子はびっくり。

「ええ?・・・」

「私が山際れいちゃんを守るよ!」

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