侵略者を撃つな! 42

 金目ひなた。

「さあ、行きな!」

 山際怜子は立ち上がって走り始めました。片岡愛美はそれを見て笑いました。

「きゃはは、ざまぁ!」

 それを聞いて金目ひなたも笑いました。さらに飯島莉桜りおも。けど、広川雫は何か考えてるようです。


 ここはファミレス。金目ひなたたち4人がテーブルに座ってます。4人の前にはそれぞれ巨大なパフェが載ってます。ドリンクバーから持ってきたジュース類も見えます。片岡愛美は細長いスプーンにパフェを載せ、それを口に入れる寸前、

「あはは、これ、一度食べてみたかったんだぁ」

 片岡愛美はパフェをぱくっ。途端に眼が><になりました。

「うわっ、美味しい~!」

 金目ひなたも飯島莉桜りおもパフェを口に入れてえびす顔。

「あは、美味しいね!」

 けど、広川雫だけは渋い顔。パフェに手をつけてません。片岡愛美はそれに気づき、

「おい、なんだよ、広川ひろちゃん。なんか文句あるの?」

 広川雫は渋々応えました。

「な、なんでもないよ」

 片岡愛美。

「じゃ、食べなよ」

「うん・・・」

 広川雫も細長いスプーンを使ってパフェを食べました。そして横目で金目ひなたを見ました。広川雫の脳裏に数時間前の出来事が思い浮かんできました。


 ちょっと時間を遡ります。今はこの日の昼休み。校舎の階段の踊り場にたむろってる金目ひなたたち4人。なお、ここより上は屋上のようです。

 金目ひなたがほかの3人に宣言。

「今日の放課後やるよ」

 飯島莉桜りおが質問。

「え、何を?」

 金目ひなたが応えます。

「山際怜子から5,000円もらうんだよ!」

 それを聞いて片岡愛美が大喜び。

「あは、やっとその気になったんだ!」

 けど、広川雫は否定的。

「ええ・・・」

 広川雫は頭の中でこんなことを言いました。

「そんなの絶体間違ってるよ・・・」

 そして金目ひなたに向かってこんなことを言いました。

「ひなたのお父さんてお役人だよね。そんなことしてバレたら、お父さんに迷惑がかかるんじゃないの?」

 金目ひなた。

「ふ、山際怜子あいつ、自分のアニキが障害者てことがバレるのが怖いんだよ。だからいくらむしり取ったってどこにもチクらないって。

 広川ひろちゃん、考えてみなよ。私たちの親は一生懸命働いて給料を稼いでるのに、国はそこからたくさん税金をむしり取ってんだよ。なのに、あいつの家はなんなんだよ。障害者がいるって理由で国からたくさん年金をもらってるんだよ。どう考えたってこれは不公平だよ! わたしは許せない。絶対許せない!」

 広川雫は唖然としてしまいました。その広川雫を横目で見て、飯島莉桜りおが口を開きました。

広川ひろちゃん、嫌なら私たちから抜けていいよ。そのかわり、私たち、これからあなたのことをずーっと完全ガン無視するから!」

 これは広川雫の心に追い打ちをかけました。広川雫は引っ込み思案でクラスではいつも孤立してました。そこに声をかけ仲間に入れてくれたのが金目ひなたたち3人だったのです。もうひとりぼっちになるのは嫌だ。広川雫はここは自分を優先することにしました。

 けど、納得しきれない広川雫は、横眼で飯島莉桜りおを見てこう思いました。

飯島りおちゃん、ひどいよ。前回は私と同じ意見だったのに・・・」

 どうやら飯島莉桜りおは、その場の雰囲気に流されやすい女の子だったようです。

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