侵略者を撃つな! 31
実は日向は小6だというのに、胸はDカップもありました。なのに今の身体は、Aカップもありません。唖然として当然なのです。けど、そのとき、日向の脳裏に夢の中で逢った海老名隊員が出てきました。
「ふふ。私、このまま地獄に逝くつもりだったけど、あと半年はこの世に残ることにする」
あの人、幽霊になって37人殺したと言ってたよなあ・・・ 日向はそう心の中でつぶやくと、横目であたりをキョロキョロ。
「あの人の幽霊がここにいる?・・・」
そう、もし海老名隊員の幽霊に監視されてたら、胸のサイズで文句を言ったら呪い殺されてしまうかもしれません。
胸のサイズは女の子にとってとてもデリケートな部分。海老名さんも気にしてたはず。それに文句を言ったら、きっと私も・・・
日向は胸の不満は封印することにしました。
昼間の街道。テレストリアルガードのカラーリングが施されたセダンが走ってます。運転してるのは隊長。助手席には海老名隊員の服に着替えた日向がいます。隊長が切り出しました。
「あは、まさか首がついたその日にいきなり退院だなんて、思ってもみなかったよ。最初は半年はかかると言ってたのに、なんだ、1ケ月で完了したじゃないか!」
と、突然助手席からカチッという音。隊長は不審に思い、横目で助手席を見ました。
「ん?」
次の瞬間、
「ええーっ!?」
と、大声を出して驚きました。日向が自分の首をはずし、それを両手で挟むように持ってるのです。日向の顔は180度逆向きになってます。どうやら自分の身体をながめてるようです。
「あはは、すっごーい! 首をはずしたのに、身体が動いてる!」
隊長は慌てた顔で、
「バカ! 何やってんだよ! こんなとこ人に見られたら、どうするんだよ!」
日向は不思議顔。
「ええ?」
「ともかく早く戻せよ、首を!」
日向は残念そう。
「もう・・・」
日向はふくれっ面を見せました。
「ぶ~」
そして自分の首を胴体にカチッと戻しました。隊長はおかんむり。対向車線を走るクルマを見て、
「おまえなあ、対向車の人に見られたらどうすんだよ! おまえの首を見たドライバーがハンドル操作誤って、大事故になったらどうするつもりなんだ!?」
けど、日向はぜんぜん関係のないつぶやきをしました。
「あは、私、大事にしてた黒髪をばっさりと切られて気分が悪かったたけど、こんな理由で髪の毛切ったのかあ・・・」
「けど、その首はずしは禁止にしないといけないな」
「ええ、どうして?」
隊長は日向の首元を囲む太い線(つなぎ目)を横目で見て、
「その首元のぶっといつなぎ目は消さないといけないだろ。つなぎ目を消すとなると、首と同体を完全につなげないといけないんじゃないか? となったら、もう首をはずすことはできないだろって」
日向は考え込みます。
「う~ん・・・」
そして、
「チョーカー・・・」
と、ぽつり。隊長はそれを聞いて、
「え、チョーカー?」
「首に巻く宝飾品みたいなものですよ」
「いや、チョーカーが何かは知ってるけど、それを首に巻いてつなぎ目を消す気なのか? う~ん、いくらなんでもそんなもんじゃ、首のつなぎ目は隠しきれないんじゃないのか?・・・」
「私、首がめちゃくちゃ長くなったような・・・」
「ああ。マウントと呼ばれる接合プレートを入れたから、その分どうしても長くなってしまったらしい。短くしようにも声帯の位置を確保しなくっちゃいけないから、その長さになってしまったらしいよ」
「そこですよ! こういう設定にするんです!」
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