侵略者を撃つな! 30

 日向の眼はまず隊長を捉えました。

「香川隊長・・・」

 日向の首を取り付けた女性研究員が、背後から日向の後頭部を左手で押さえました。びっくりする日向。

「え?」

 女性研究員が右手で日向の首から出ているコードを一気に引き抜きました。日向は何が起きたのか確認しようと振り向きました。そのとき自分に新しい身体が付いたことに気づきました。

「あっ、身体が・・・」

 隊長は微笑んで、

「おめでとう。君は蘇ったんだよ」

 日向も微笑んで、

「あはは・・・」

 と、日向はここで変な感覚を覚えました。

「あれ、私、呼吸してる?・・・」

 南原主幹が応えます。

「ふふ、鼻と肺が無事つながったようだな。静脈も動脈もつながってるはずだ。じゃ今度は神経がつながったかどうか試してみよっか」

 南原主幹はタブレット端末と専用のペンを渡し、

「これに君の名前を書いてみよう!」

「はい!」

 日向はタブレットを受け取ると、ちょっと考えたのち、一気に「日向愛」と書きました。南原主幹はその文字を見て感心しました。

「お~ きれいな文字じゃないか! 神経も無事つながったようだな」

「あは・・・」

 日向は自分が書いた文字を見て感心してます。隊長は彼女の背後からその文字を覗き見しました。

「日向愛。新しい方の名前だな」

 日向は応えます。

「はい。私はもう日向愛ですから」

「ふふ、いい心がけだ」

 南原主幹。

「じゃ、次は歩いてみようか」

 日向は応えます。

「はい!」

 隊長は左手を差し出しました。それを見てはっとする日向。隊長。

「さあ、手を取って」

「はい」

 日向はその手を右手で掴み、そしてゆっくりと立ち上がりました。

「あは、立てた」

 日向はゆっくりと歩きます。隊長はそれを見て、

「いいぞ」

「あはは・・・」

 あまりにもスムーズに歩けるもので、日向は思わず笑い声をあげました。隊長も微笑みます。

 日向は隊長を見て、

「もう手はいいですよ」

「OK」

 隊長は左手をゆっくり引っ込めました。日向は何事もなく歩き続けます。

「あははは・・・」

 日向は笑いっぱなしになりました。南原主幹も、それ以外の研究員たちも笑ってます。南原主幹。

「よーし、問題なく歩けるようだな」

 南原主幹は隊長を見て、

「どうです。明日飛行実験をしてみませんか」

 隊長はびっくり。

「ええ、もう?」

「見ての通り、何も問題ないじゃないですか」

「ふふ、わかりました」

 南原主幹は今度は日向を見ました。

「今日はもう帰っていいよ」

 今度は日向がびっくり。

「ええ、もう帰ってもいいんですか?」

 南原主幹は笑顔で応えます。

「もちろん」

「あは」

 日向はまたもや笑顔になりました。隊長は日向の検査着を見て、

「しかし、その服じゃなんだな。念のためにえびちゃんが昔使ってた服を持ってきたが、着てみるか? 君の身体は元々えびちゃんの身体だ。サイズ的にはちょうどいいと思うぞ」

「はい。お願いします」


 更衣室。研究員のための更衣室のようです。たくさんのロッカーが並んでます。その中央に背もたれのないイスがあり、そこに紙袋が置いてあり、その中から衣服がこぼれ出ています。その傍らでは日向が着替えてます。今日向はパンツ一丁。

 日向はロッカーの扉の裏側についてる鏡に写る自分の胸を見て唖然としてます。

「ええ~・・・」

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