侵略者を撃つな! 26

 寒川隊員とユラン岡崎の会話が続いてます。寒川隊員の質問。

「半年前? まだその迎えは来ないんですか?」

「ああ、リントブルム独立の中核となる部隊は今、ヴィーヴルの兵隊として別のところで戦争してるようだ。その戦争が終わるまで動けないらしい。けど、その戦争も終結間近と聞いた。いつ迎えがきてもおかしくない状況なんだ」

 ユランは再び寒川隊員の顔を見て、

「今まで騙しててすまなかった」

「いいえ。こんな事情です。自分でもきっとそうしてましたよ。気にしないでください。

 実は昨日折り紙コンサートホールに申し込みしました。来月すみれと一緒に歌います。できればユランさんにも出て欲しいんですが・・・」

「ん、すみれ?」

「あは、バイオレットのことですよ」

 ユランはすみれを思い浮かべ、

「あのの本当の名前はすみれていうんだ・・・」

 と言うと、ユランは考え込んでしまいました。寒川隊員はそれを不審に思い、声をかけました。

「ユランさん?」

「あ? ああ・・・

 いや、悪いな。そのときはもう宇宙に帰ってるよ」

「あは、そうですよね・・・」

「折り紙コンサートホールは大ホールと小ホールがあるが、どっちでやるんだ?」

「当然小ですよ」

「あは、そうだろうなあ。でも、その次は大でやるように努力してくれ」

「ええ、わかりました」

 寒川隊員とユランは固く握手しました。


 この後テレストリアルガードに戻った寒川隊員は、ユランとの会話をすべて隊長に報告しました。

 寒川隊員はこの夜の出来事をすべて胸にしまっておくつもりだったのですが、ブランコに乗ってたとき、他に人の気配を感じたのです。どうやら公安7課の監視のようです。このままだとユランさんに迷惑がかかるかもしれないと思い、隊長に報告しました。


 それから数日後、ここはテレストリアルガードサブオペレーションルーム。いつものように寒川隊員がギターを弾き、それをすみれ隊員が聴いてます。2人ともイスに座ってます。

 別のイスには隊長が座っていて、モニターでアニメを見てます。2人に気をつかってるのか、音声はイヤホンで聴いてました。なお、3人とも隊員服を着てます。

 上溝隊員はいつものようにレーダースコープの前に座って、雑誌を読みながらレーダーをモニターしてます。と、眼の前の小さなモニターが点灯しました。上溝隊員はそれに気づき、

「ん?」

 上溝隊員は受話器を取り、

「はい・・・」

 上溝隊員は隊長に振り返りました。

「隊長、本部からテレビ電話です」

「ん?」

 隊長はイヤホンを取り、今見てるモニターとは別のモニターに視線を移しました。隊長が視線を移すと同時にそのモニターが点灯。そこには2人の男性の姿が。1人は南原主幹。もう1人の男性は40代。この男性は中原さん。南原主幹は白衣、中原さんはジャケットを着てます。

 テレストリアルガードの規則によると、テレストリアルガードの隊員は他の部門の人に会うことは禁じられてますが、ある一定以上の役職の人なら、本部の人立会のもと、会うことができます。中原さんはその本部の人なのです。

 モニターの中の南原主幹の発言。

「あ、香川隊長、お久しぶりです」

 南原主幹はすみれ隊員の姿に気づきました。

「おお、黒部隊員もいますか。うん、ちょうどいい」

 その発言に隊長は疑問を持ちました。

「ん? すみれに何か?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る