侵略者を撃つな! 23

 ひなたがぽつりと口を開きました。

「あなたが香川隊長・・・」

「ふ、やっぱオレの名前を知ってたな。あんた、夢の中でえびちゃん・・・ 海老名隊員に会ったな」

「ええ・・・」

「じゃ、自分がなんでここにいるのかもわかってんな?」

「ええ。飛行機事故で身体がバラバラになるほどの大ケガを負った。ほかの病院では治療は不可能だったから、ここに運ばれた」

「そう、まさにその通り」

「その飛行機事故の死者は122人ですね。生き残ったのは私1人。それも海老名さんから教えてもらいました」

「そっか・・・

 えびちゃん、なんて言ってた?」

「香川隊長を守って、て・・・」

 隊長は苦笑い。

「あは、そっか。ふ、人払いしておいて正解だったよ」

「人払い?・・・ そう言えば人払いしましたね? どうして人払いしたんですか?」

他人ひとに聞かれたくないからだよ」

「え?」

「えびちゃんは超能力者だった。それはオレとあいつだけの秘密だったんだよ。ほかの人には知られたくなかったんだよ」

 ひなたはそれを聞いて、海老名隊員のある発言を思い出しました。

「ふふ、死んだらわかった。私、秘密の力を半分しか使ってなかった。あなたにはこの力を100%にしてプレゼントしてあげる」

 そして思いました。

「あの人が言ってた秘密の力て、超能力のこと?」

 次に発言。

「じゃ、海老名さんはメガヒューマノイドで超能力者だった?」

「ん、メガヒューマノイド?」

 隊長は視線をはずし、

「ふ、あいつ、そんなことまでバラしてたのか・・・」

 そして再びひなたを見て、

「まあ、そうだな。あいつはいろんな面でスーパーガールだった」

「あは、海老名さんてすごい人だったんだ。私、海老名さんの代わり、務まるかな?」

「ん、海老名さんの代わり?・・・ もしかして、君、テレストリアルガードに入ってくれるのか?」

「はい」

「メガヒューマノイドにもなってくれるのか?」

「はい。海老名さんの首をちょん切って、そこに私の首を据えるんですよね。海老名さんはメガヒューマノイドだから、その身体をもらったら私も当然メガヒューマノイドになるんですよね」

「ふふ、そこまでわかってんのか・・・ あは、まさにその通り。なんかうれしいなあ。いやあ、どうやって君を説得しようか、ずーっと考えていたんだよ」

 ひなたはちょっとはにかんで、

「実は私、今、海老名さんに監視されてるんです」

 思ってもみなかった発言に、隊長はびっくり。

「ええ?」

「テレストリアルガードに入る気がないなら、この手術邪魔するって」

「あは、そっか。そんなことまで言ったんだ・・・ あいつらしいや・・・

 ん? あいつ、まだこの世に残ってんのか?」

「はい、あと6ケ月はいると言ってました」

「あは、そっか・・・」

 隊長はちょっと複雑な気分になりました。えびちゃんとまた話がしたい。けど、えびちゃんは幽霊になって罪のない人を37人も殺しました。あいつ、割と平気で人を殺すからなあ・・・ また誰か殺すかも・・・ そんなやつと話をしてもいいものなのか?・・・

 ちなみに、海老名隊員は目的が達成されたので、すでにこの世にはいません。今頃あの世です。

 隊長は再びひなたに話しかけます。

「君はいろいろとやらかしたみたいだな」

 ひなたはぽつりと応えました。

「はい・・・」

「このさい君は死んだことにしておくよ。で、新しい戸籍を作る。プロフィールも名前も新しくなるんだ」

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