侵略者を撃つな! 24
首だけになってしまったひなたは、隊長に提案しました。
「あは、じゃ、苗字は
「ん、日向? 下の名前をそのまま苗字にするのか?」
「はい」
「いいのか? その名前じゃ、正体がバレるかもしれないぞ」
「ひなたは父がつけてくれた大事な名前です。そう簡単に捨てられるものじゃありません」
「そっか・・・ じゃ、下の名前はオレにつけさせてくれ。今日から君の名前は愛だ」
「愛?」
「そう。えびちゃん・・・ 海老名隊員の下の名前だ」
「あは、わかりました」
香川さんは海老名さんのことを忘れることができないんだな、とひなたは思いました。
隊長。
「これから君の首をえびちゃんの身体に連結させる手術に入る。1週間はかかると思う。それまでまた寝てもらうよ」
「あの~ 私、今どうなってるんですか?」
「見たいか?」
「ええ」
「わかった」
隊長はスマホを取り出し、そのカメラ機能でひなたを写しました。隊長はスマホ画面でそれを確認し、ひなたの前に歩いて行き、ひなたの眼の前にそのスマホを掲げました。ひなたはその画面を見て、愕然。そして苦笑い。
「あははは・・・ なんか妖怪みたい」
隊長は応えます。
「これでも生きてるんだから、テレストリアルガードの技術ってすごいな。
次に会うときは君の身体は完璧な身体になってるはずだ。じゃ、またな」
その日の夜、ここはユラン岡崎が住んでるアパート。その前の駐車スペースにユラン岡崎の軽ワンボックス車が帰ってきました。運転してるのはユラン。変装してないユランです。
ユランは軽ワンボックスを降りると、そのままアパート入り口に入って行きました。
2階の外廊下、奥にある階段からユランの姿が現れました。手前に向かって歩き出すユラン。そのユランの前に立ちふさがるように人影が現れました。その人影を見てユランははっとしました。その人影は私服の寒川隊員だったのです。
この日の日中、寒川隊員は隊長に、
「今の話は聞かなかったことにしますか・・・」
と応えましたが、どうしても我慢できなくなり、ユランに会いに来たようです。
ユランは何事もなかったように寒川隊員の横を通り過ぎようとしました。が、
「ユランさん、ちょっと待ってくださいよ!」
寒川隊員のこの一言で、ユランはビクンとして立ち止まりました。寒川隊員はユランの横顔を鋭い眼で見て、
「あなたがユラン岡崎てことはすでにバレてますよ。
あなたはリントブルムて国の人じゃないですよね。リントブルムて惑星からやってきた宇宙人だ!」
今度はユランが寒川隊員の顔を見ました。
「君はいったいなんなんだ?」
「ストリートミュージシャンですよ。昼間はテレストリアルガードの隊員をやってますが」
それを聞いてユランは衝撃を受けました。
「テ、テレストリアルガード?・・・ 私を逮捕しに来たのか?」
「テレストリアルガードは侵略の意志のある宇宙人だけを拘束します。あなたは対象外です」
それを聞いてユランは一瞬安心した顔を見せました。が、寒川隊員の発言は続きます。
「けど、お話があります」
ユランは少し考え、
「ここじゃなんだ。公園に行かないか?」
夜の公園です。ここはブランコ。寒川隊員とユラン岡崎が並んでブランコに座ってます。それ以外の人影は皆無です。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます