侵略者を撃つな! 22

 と、固定電話が突然鳴りました。隊長ははっとし、その受話器を取りました。

「もしもし・・・ ん?」

 隊長は受話器を戻し、

「ヒューマノイドセクションから呼出しだ。金目ひなたのことだと思う。ちょっと行ってくるよ」


 ここは一般家庭内の部屋。リビングにしてはかなり広い部屋です。中央には一般家庭には似つかないグランドピアノが置いてあり、少女が1人、そのピアノを弾いてます。顔を見たら、ひなたでした。

 流麗なピアノのメロディ。ひなたは物心ついたころからピアノを習っていて、その腕前はかなりのものでした。

 ひなたの背後から突然声が。

「うん。相変わらずすごいピアノの腕だ」

 ひなたははっとして、ピアノを弾く手を止め、声がした方向を見ました。そこには40代の男性がいました。ひなたはぽつり。

「あれ? お父さん、仕事は?」

 そう、この男性はひなたの父親。父親は応えます。

「ふ、今日は休みだよ。有給休暇が溜まってて、今日はむりやり有給休暇を取らされたんだよ」

「あは、そうなんだ。

 そうだ。ずーっとお父さんに訊こうと思ってたことがあったんだ。せっかくだから訊いちゃおっかな?

 ねぇ、お父さん、なんで私の名前はひなたなの?」

「ええ、今更?」

 父親は一瞬困惑した顔を見せましたが、すぐに笑顔になり、応えました。

「いいか、ひなた。ひなたっていう名前は、いつもいつも陽の当たる場所にいて欲しいという意味でつけたんだよ」

「あは、やっぱり・・・」

「なんだ、知ってたのか? ま、この名前じゃ、そうとしか解釈できないよな。

 なあ、ひなた、おまえ、絶体悪いことするな。お天道様が当たらないような場所には絶対行くなよな」

「あは、私、そんな悪い女の子に見える?」

「ああ、そうだよな。信じてるぞ。これは約束だ!」


「は!?」

 ひなたは突然眼を開けました。ここはテレストリアルガード研究所ラボの研究室。宙に浮いてるひなたの首。その両耳と両眼の間にはヘッドホンのような器具があり、その器具によって天井からぶら下がってる状態。首の切断面から数本のコードやホースが飛び出してます。なお、前回は水槽の中の水中にいましたが、今回は水のない水槽の中にいました。

「ん、電気ショックが訊いたな」

 それはひなたの眼の前に立ってる南原主幹の発言でした。その横にはテレストリアルガードの隊員服を着た香川隊長がいます。隊長と南原主幹の周りには、たくさんの研究者がいます。

 隊長のあいさつ。

「おはよう、ひなた。また会ったな」

「おはようございます」

 ひなたのニコッと笑って、言葉を発しました。首だけなのに声を発することができるようです。隊長はその声を聞いて、

「ふふ、思ったより元気な声だ」

 ひなたの眼が左右に動きます。

「ここはテレストリアルガードですか?」

 そのひなたの発言を聞いて、研究員たちが騒めきます。なんでこのはここがテレストリアルガード(の研究所)だとわかる? けど、隊長はその発言に心当たりがありました。

 隊長は周りの研究員に呼びかけました。

「それじゃ、みなさん、こっから先は機密事項が含まれてますので・・・」

 南原主幹が代表して応えます。

「わかりました」

 南原主幹は部屋にいる研究員たちに声をかけました。

「じゃ、みんな、外に行くぞ」

 研究者たちがドアを開け、ぞろぞろと部屋を出て行きます。部屋には隊長とひなただけが取り残されました。

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