侵略者を撃つな! 19

 映像はちょっと遠くにある建物の外壁を捉えました。今その外壁のドアが開き、1つの人影が出てきました。すると待ち構えていた2人の女の子が駆け寄りました。人影が2人の女の子からスケッチブックを受け取りました。映像が人影をアップにすると、それはユラン岡崎でした。


 サブオペレーションルームの寒川隊員はそれを見て、びっくり。

「ユ、ユランさん?」

 映像の中、ユランはギターケースを持って歩き始めました。映像はそのユランの後姿を捉えています。どうやらこのカメラを持ってる人は、ユランを尾行してるようです。

 サブオペレーションルームの寒川隊員は隊長を見て、

「隊長、ユランさんを尾行したんですか? なんで?」

「まあ、黙って見てくれないか?」


 ユランがコインパーキングに入りました。そして1台の軽ワンボックス車のドアを開けました。ここでカメラが切り替わりました。

 軽ワンボックス車がコインパーキングの敷地から道路に出て走り出しました。それを追うように視点も走り出しました。どうやらこのカメラの持ち主は、バイクに乗ってるようです。

 隊長はここでリモコンを持ち、

「ここからはあまり意味のない映像だから、ちょっと飛ばすぞ」

 画面が早廻しになりました。そしてアパートの前を映し出したところで、通常の再生に戻りました。


 ここはちょっと古いアパート。アパートの前には道路に沿って数台のクルマが駐まれるスペースがあり、今そこにユランの軽ワンボックス車が駐まりました。

 運転席から1人の男が降りました。その男はかなり大柄。ヒゲはなく、髪の毛はもじゃもじゃではなく、短髪。それを見て寒川隊員の顔が驚きに変わりました。

「こ、この人は?」

 それに隊長が応えました。

「ユラン岡崎だ」

「ええ?」

「クルマの中で変装を解いたんだろ。どうやら君の知ってるユラン岡崎は、ふだんはこんな格好で街を歩いてるようだな」

 寒川隊員は愕然です。

「い、いや、その・・・ きっと何か理由があって・・・」

 けど、寒川隊員はそれ以上は言えませんでした。

 映像の中、ユランがギターケースを持ってアパートの中に入って行きます。


 ここはアパートの外廊下のようです。ギターケースを持ったユランが手前に歩いてきます。それを手摺のあたりに取り付けたカメラが捉えてます。ユランがカメラを通り過ぎました。すとる180度逆向きにもカメラが取り付けてあるらしく、映像が歩き去って行くユランに切り替わりました。

 ユランはアパートのドアの1つを開け、その中に入って行きました。ここで映像が終了しました。


 サブオペレーションルーム。隊長は寒川隊員を見て、

「実はユラン岡崎は、公安7課の監視対象だった」

「こ、公安7課て・・・ 公安7課て宇宙人を扱ってる警察の部署ですよね?」

「ああ。6年前の戦争でユミル星人が撤退したとき、取り残されてしまったユミル星人の兵隊を探索し、監視してる部署だ。この映像も公安7課が作製したものだ」

「な、なんで、ユランさんを?」

「ふ、まだわからんのか? あの男も宇宙人だったんだよ」

 寒川隊員にの身体に衝撃が走りました。

「ええ?・・・

 で、でも、ユランさんは自分のことをリントブルム人と日本人のハーフだと言ってましたよ!」

「そっか。じゃ、次はこの映像を見てもらおうか」

 隊長はDVDプレイヤーのリモコンのスイッチ押しました。すると別の映像が始まりました。

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