侵略者を撃つな! 18

 この3人を少し遠くから見てる人影があります。30代前半の男です。その男の顔を見ると、メガネをかけてます。つる(テンプル)の部分には何か極小の装置がついてます。どうやらカメラのようです。

 ユランがスケッチブックを2人の女の子に返しました。

「はい」

 女の子は歓喜。

「ありがとうございます!」

「じゃね」

 ユランが歩き始めました。しばらくするとユランの背後に先ほどのメガネの男の姿が。どうやらメガネの男は、ユランを尾行してるようです。ユランはその尾行にまったく気づいてません。


 ユランがコインパーキングに入りました。そしてそこに駐めてあった軽ワンボックス車のテールゲートを開け、そこにギターケースを入れ、次に運転席のドアを開け、乗り込みました。軽ワンボックス車のヘッドライトが点灯、軽ワンボックス車は動き始めました。

 この光景を路上から立って見ている2人組の男がいます。1人は先ほどのメガネの男、もう1人はバイクに跨った男です。フルフェイスのヘルメットを被ってて、顔は見えません。

 軽ワンボックス車が路上を走り出しました。するとそのクルマを追うようにバイクが走り始めました。


 軽ワンボックス車車内。ユランが右手でハンドルを握ってます。左手はもじゃもじゃの頭の上へ。と、彼の左手はもじゃもじゃの髪の毛を掴むと、パカッとその髪の毛を取ってしまいました。その下には短髪が。なんと彼のトレードマークのもじゃもじゃの頭は、かつらだったのです。

 ユランはさらに左手を右耳の前に持ってきました。すると、なんともじゃもじゃなヒゲをバリバリと剥がしてしまいました。実はヒゲも付けヒゲだったのです。

 ユランはまったく違う風貌になってしまいました。


 翌日、ここはテレストリアルガード基地オペレーションルーム。いつものように上溝隊員がレーダースコープをモニターしながら雑誌を読んでます。サブオペレーションルームでは寒川隊員がイスに座ってギターを弾いてます。その隣りのイスには、すみれ隊員が静かに座ってます。今日は2人ともテレストリアルガードの隊員服を着てます。

 今引き分けの自動ドアが開き、隊員服姿の隊長が入ってきました。寒川隊員はそれに気づき、

「あ、隊長」

 隊長は立ったままにこやかな顔を見せ、

「昨日はご苦労さん」

 隊長は上溝隊員を見て、

「上溝隊員!」

 雑誌を読んでた上溝隊員は、慌てて顔をあげました。

「あ、はい!」

「悪いが、ちょっと席をはずしてくれないか」

「はい」

 上溝隊員は席を立ち、自動ドアに向け歩き始めました。隊長はその上溝隊員を見て、さらにすみれ隊員を見ました。

「あ、上溝、悪いが、このも連れてってくれないか?」

「あ、はい」

 上溝隊員はすみれ隊員の片方の手を握りました。

「さぁ、一緒に行きましょ」

 すみれ隊員は誘われるまま、立ち上がりました。そのまま2人は自動ドアを開け、部屋を出て行きました。これを見て寒川隊員は緊張しました。上溝隊員とすみれ隊員をはずした。何か重要な話があるようです。

 隊長はケースに入ったDVDを上溝隊員に見せ、

「寒川、これを見てくれないか」

 隊長はDVDプレイヤーにそのDVDを入れました。すると巨大なモニターに映像が映りました。


 映像の中は真っ暗。ところどころ灯が見えます。どうやら夜のようです。この映像を撮影してる人は今、歩いて移動してるようです。と、映像が静止しました。カメラを持ってる人が歩を止めたようです。

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