侵略者を撃つな! 11

 が、ここでいきなり怒声が。

「おーい、なんだよ、お前ら!」

 2人組の男が無理やり群衆をかき分け、歩いてきます。

「おら、どけよーっ!」

 2人に突き飛ばされたオーディエンスの女の子が悲鳴をあげます。

「きゃーっ!」

 2人が寒川隊員とすみれ隊員の前に行き、2人をにらみつけました。

「お前ら、誰に許可取って歌ってるんじゃ! ええーっ!?」

 寒川隊員は突然の出来事にぽかーんとしてしまいました。すみれ隊員は相変わらず無表情です。

「なんじゃ、お前らは!?」

 それはまた別の人の怒声でした。

「ん?」

 乱入してきた2人が振り返ると、そこにはまた別の2人組の男が立ってました。私服の橋本隊員と倉見隊員です。乱入してきた2人が橋本隊員と倉見隊員に詰め寄ります。

「はぁーっ、そっちこそなんじゃ! ここはうちの・・・」

 その瞬間、男の身体に衝撃が走りました。

「うぐ・・・」

 腹パン。橋本隊員の右パンチが男の肝臓あたりに喰い込んでました。橋本隊員はその男の耳に囁くように、

「あんた、ギャーギャーギャーギャー、うぜーんだよ!」

 男の身体が崩れるように倒れ始めました。もう1人の男がそれを見てびっくり。

「ア、アニキーっ!」

 倉見隊員はその男のすねを蹴ります。

「おおっと」

「うぎゃーっ!

 男は顔面からアスファルトに突っ込みました。と、ここでホイッスルを鳴らしながら2人の警官が突入してきました。

「こらーっ、何やってるーっ!」

 2人の警官はそれぞれ男の身体を押さえつけました。

「くそーっ!」

「離せよ、こんにゃろーっ!」

 2人の警官がそれぞれ2人の男を立たせます。

「ほら、立て!」

 男の1人があたりを見回します。どうやら寒川隊員・すみれ隊員・橋本隊員・倉見隊員を捜してるようですが、見当たりません。

「くそーっ! あいつら、どこに行きやがった?・・・」

 2人が警官に連れて行かれました。


 バスターミナル近くのコインパーキングから1台のセダンが走り始めました。運転してるのは隊長、助手席に寒川隊員、後部座席にはすみれ隊員とギターケースがあります。

 寒川隊員がため息。

「あ~あ、あいつらのせいで大事な告知ができなかった・・・」

 隊長が応えます。

「明日のセブンスカーペットのライヴのことか、告知って?」

「はい・・・」

「う~ん、あの告知のためにやったストリートライヴなのに、これじゃなんにもならんなぁ・・・ しかし、なんなんだ、あいつらは?」

「さあ、なんなんでしょうねぇ・・・ 昔オレがストリートミュージシャンやってたときは、あんなやつ、いませんでしたよ」

「今はやりの半グレか?」

「しかし、隊長。まさか橋本さんと倉見さんまでいたなんて・・・」

 隊長は横目で後部座席のすみれ隊員を見て、

「ふっ、あの2人もこいつの歌声を聴きたかったんだろ」

「いいんですか? テレストリアルガード基地をほったらかしにしちゃって?」

「ふふ。そんなに年がら年中飛行機は墜ちないだろって。たとえ墜ちても上溝隊員も女神隊員もスタンバイしてるし、問題ないだろ」

「う~ん、そう言や、警官が来るの、ちょっと早過ぎたような? もしかして、隊長が事前に呼んでたとか?」

「ふふ、さあな」

 実は路上でライヴを行う場合は事前に許可を取らないといけないのですが、実際許可を取ってライヴを行うストリートミュージシャンは皆無。けど、隊長は万が一を考え、事前に許可を取ってたのです。そのせいで警官がいたのです。

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