侵略者を撃つな! 6
海老名隊員の説明が続いてます。
「けど、私、不良に殴られて、あっけなく死んじゃったんだ」
ひなたはびっくり。
「ええ?」
「脳死てやつ。私の頭蓋骨はチタン合金に置換されてたんだけど、それに何か欠陥があったみたい。とっても悔しかったなあ。私、16年しか生きられなかったんだよ・・・
でもね、私の身体には莫大な金がかかってるんだ。脳みそ以外は全部元気に生きてる。だからテレストリアルガードは、私の身体を火葬することができなかった。そこにあなたの身体が運ばれてきた。
あなた、自分の死因・・・ いや、まだ死んでないか。ケガの原因、覚えてる?」
「・・・飛行機事故」
「そう。あなたの乗ってた飛行機は墜落した。この事故で一気に122人が死んでしまった。生き残ったのはあなただけ。あなたも首から下がぐちゃぐちゃで生きてるのが不思議なほどひどいケガを負った。そんなあなたを見てテレストリアルガードは思いついたんだ。首を根元からちょん切って私の身体につないでみたらどうかって。
今手術の準備中。この手術、きっと成功するわよ」
「ええ? なんでそんなことまでわかるの?」
「ふふ、私だからわかるの。おめでと。あなたはまた現世に戻ることができるわよ」
「あ、あなたは?」
「地獄に逝く」
「え?」
「あなたは1人殺したみたいだけど、私は37人殺しちゃったんだ」
ひなたはまた驚きの声をあげました。
「ええ~?・・・」
「死んだあと、幽霊になってやったんだけどね。死後にやったことだから神様は見逃してくれると思ったんだけど、それは甘かったみたい。ふふ、どんな地獄が待ってるのかなあ?・・・
ねぇ、私の身体、大事に使ってよ。そうだ、あなたにはもう1つ、いいものをあげるよ。私の秘密の力を」
「秘密の力?」
「ふふ、死んだらわかった。私、秘密の力を半分しか使ってなかった。あなたにはこの力を100%にしてプレゼントしてあげる。だから香川隊長を守って」
「え、香川隊長て?」
「テレストリアルガードの隊長。私が唯一愛した男の人」
「唯一愛した男の人?」
「そう。香川隊長も私のことを愛してた。けど、香川隊長にはもう1人女がいるんだ。黒部すみれて女。
黒部すみれはユミル星人の水素核融合弾に吹き飛ばされ、身体がバラバラになっちゃったんだ。でも、テレストリアルガードの研究所(ラボ)で義手や義足をつけてもらった。そう、私と同じ。
けど、私と決定的に違うところがある。私は頭はなんともなかったけど、すみれは脳みそまでやられちゃったんだ。そのせいで心が希薄なんだ。
実を言うとね、数年後にまた宇宙人が攻めて来るんだ。テレストリアルガードはその宇宙人を迎え撃つ。すみれも最前線に連れていかれるんだけど、あいつ、な~んの役にも立たないんだ。香川隊長はそのすみれを助けようとして戦死してしまうんだ」
「な、なんでそんなことがわかるの?」
「それが私の秘密の力だから」
ひなたはびっくり。
「ええ~?」
「香川隊長が戦死するとテレストリアルガードは統率が取れなくなって、地球はあっという間に占領されてしまうんだ。だからあの女を絶対最前線に立たせてはいけないの! わかる?」
「私、どうすればいいの?」
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