侵略者を撃つな! 7

「さあ、それは私にもわからないんだ・・・ 一番手っ取り早い方法は、すみれを事前に殺しておく。でも、それは絶体ムリ。彼女も一応テレストリアルガードの隊員だからね。それに・・・ いや、これはいいか・・・」

 ここで海老名隊員は「すみれがいなくなると、香川隊長のモチベーションが下がる」と言おうとしましたが、それはやめておきました。海老名隊員の発言が再開します。

「すみれはまだメガヒューマノイドになってないんだ。メガヒューマノイドなんかにならなきゃ、最前線に連れて行かれることはないはず。だからメガヒューマノイド改造手術を妨害するっていう手もあるんだけど、テレストリアルガードはすみれの身体にも莫大な金をかけてるから、現場がなんと言おうと、改造する気マンマンなんだ。困ったもんね・・・

 そこであなたにお願いがあるんだ。なんとしてもすみれを最前線に行かせないで!」

「そ、そんなこと言われても、私は・・・」

 ここまで静かに海老名隊員の云うことを聞いてたひなたですが、ここで突然感情を爆発させました。

「だいたい、なんなの? あなた、さっきから私がテレストリアルガードに入るて前提で話をしてるけど、なんで私、あんなところに入らなくっちゃいけないの? 嫌よ、私、絶体!」

 海老名隊員は呆れたって顔を見せ、

「あは、そんなこと言うんだ。じゃ、私、この手術、邪魔する。私、幽霊になってから37人も殺したんだ。手術を邪魔するくらい簡単、簡単。

 私の身体は私の意志を継ぐ人だけにあげる気よ。あなたにその意志がないのなら、絶対あげないから!

 さあ、どうする!?」

 ひなたは考えました。ひなたはクラスメイトの女の子をイジメて、そのを自殺に追い込んでしまいました。そのせいで家族に大迷惑をかけてしまいました。ここで死んでしまってもいい気分なのです。

 けど、生の執念は捨てきれるものではありません。テレストリアルガードに入って、人生を一からやり直そうか?・・・

 ひなたはなかなか決断できません。海老名隊員は後押しすることにしました。

「あなたは社会からも神様からも見捨てられた。そんなあなたをテレストリアルガードは拾い上げようとしてるのよ。少しは恩義を感じたら?」

 ひなたは仕方がないて顔をして、応えました。

「わかったよ。私、テレストリアルガードに入る。だから私の手術の邪魔はしないで」

 海老名隊員はニヤッと笑って、

「ふふ。私、このまま地獄に逝くつもりだったけど、あと半年はこの世に残ることにする。あなたがテレストリアルガードの隊員としてちゃんと仕事するかどうか見極めてから逝くことにするよ。

 さあ、そろそろ目覚めようか!」

 え、何言ってんの? ひなたは頭に?を浮かべました。海老名隊員が発言を続けます。

「あなたが眼を醒まして最初に見る人が香川隊長よ。その人を大事にしてね」

 と、ひなたはふいにへんな感覚に襲われました。

「え? ええ? ちょ、ちょっ、待って・・・

 うわーっ!」

 ひなたの身体はものすごい速さで浮かび上がりました。まるでピーンと張ったゴムに引っ張られ、飛んで行ったような。海老名隊員はそれを見送ると、つぶやきました。

「あ~あ、行っちゃった・・・」

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