侵略者を撃つな! 5

 海老名隊員の身体に悪党金目ひなたの頭をつなぐ。こんなことしたらまた海老名隊員の幽霊が現れ、事件を起こすかも? 倉見隊員と上溝隊員はそれをなんとなく危惧しました。


 ここはテレストリアルガードの研究所ラボの一室。真っ白い部屋の中に透明なカプセルが置いてあり、中に真っ白い服を着た海老名隊員の身体が横たわってます。義手・義足などはそのまま。人工心肺は必要最小限に動いてるようです。

 このカプセルをパイプイスに座って見ている人がいます。テレストリアルガードの隊員服を着た香川隊長です。隊長は海老名隊員の肉体を見ながら、

「えびちゃん、また来たよ。おまえは相変わらず目覚めてくれないなあ・・・

 明日も明後日も会いに来たいがなあ・・・ どうやら今日が最後になりそうだ。明日お前の首はちょん切られ、新しい首にすげ変わる。金目ひなたて女の子の首だ。

 この女の子は飛行機事故で瀕死の重傷を負った。そこで首を切り取って、おまえの身体に移植するそうだ。

 なんでもその女の子はかなり悪い子らしい。おまえ、また暴れるような気がしてならないんだ。オレは心配でなあ・・・」

 と、隊長の背後から物音が。隊長ははっとして振り向きます。が、そこには海老名隊員の肉体をモニターしてる医療機械しかありません。隊長はその機械が作動した音だと判断しました。

 でも、そこにはほんとうに海老名隊員の幽霊がいたのです。透明な海老名隊員はテレストリアルガードの隊員服。なぜか笑みを浮かべてました。


 ここはどこなのでしょうか? はるかに伸びる一本道。幅はあまりありません。クルマ1台分てところでしょうか? あたりは霧が立ち込めてます。道の両側は草原か雑木林のようですが、それさえ見えません。ともかく濃い霧です。

 今この道を1人の少女がとぼとぼと歩いてます。12歳くらいか? 長髪ストレート。年不相応に胸は大きく膨らんでます。着てる服は普段着。と、突然の声が。

「どこに逝くの? その先は地獄だよ」

 女の子ははっとして立ち止まりました。そこにはテレストリアルガードの隊員服を着た海老名隊員が立ってました。女の子は海老名隊員に質問しました。

「あなたは?」

「私は海老名愛。ちょっと前までテレストリアルガードの隊員だった女よ」

「ええ、テレストリアルガード?・・・ わ、私は・・・」

 女の子も名乗ろうとしましたが、口ごもりました。代わりに海老名隊員が応えます。

「金目ひなたでしょ」

 海老名隊員は彼女の名前を知ってました。海老名隊員は言葉を続けます。

「あなたも私のこと、知ってるようね」

「うん、なんとなく・・・」

「ねぇ、なんであなた、地獄なんかに逝くの?」

 ひなたはちょっと不快な顔を見せ、応えます。

「し、知ってるんでしょ!? 私は・・・ 私はクラスメイトをイジメて自殺に追い込んだ。そのせいで両親や弟に大迷惑をかけてしまった。こんなやつ、地獄に逝って当然・・・」

「へ~ そう・・・ けど、あなた、すぐに引き戻されるわよ」

「え?」

「私は6年前の戦争でユミル星人の水素核融合弾の爆風を全身に浴びて、身体がバラバラになっちゃったんだ。けど、テレストリアルガードはそんな私にメガヒューマノイドて身体を与えてくれた。私は再び街を歩けるようになったんだ」

 それを聞いてひなたはびっくり。

「あ、あなた、メガヒューマノイドだったの?」

「そうだけど・・・」

「私、知ってんよ! ものすごいスピードで空を飛べるんだよね!」

「あは、知ってるんだ。うれしいなあ・・・」

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