侵略者を撃つな! 2
ジャーン。寒川隊員は最後の1音を弾き終えました。次の瞬間、2人を囲んでいた若者たちは、うぉーっと大きな声をあげました。
「ありがとう!」
と言うと、寒川隊員は少し頭を下げました。それを見てさらに観衆は声をあげます。
「すごーい!」
「もっと聴かせてくれよ!」
こんなに声援を浴びても、すみれ隊員は何1つ顔色を変えません。
と、寒川隊員の眼にパトカーの回転灯が飛び込んできました。舌打ちをする寒川隊員。
「ちっ・・・」
そしてオーディエンスたちに大きな声で、
「あ、ごめん、パトカーが来ちゃった。今日はここまで!」
寒川隊員はギターケースにギターを収納し始めました。オーディエンスたちは不満そう。
「ええ、もうお終いなの?」
寒川隊員は彼らを見て、
「機会があったら、またここでやるよ!」
オーディエンスたちが応えます。
「ねぇ、必ずやってよ!」
「じゃ!」
と言うと、寒川隊員は走り出しました。左手でギターケースを持ち、右手はすみれ隊員の左手を握ってます。すみれ隊員は寒川隊員に引っ張られ、自然と走ってる状態になってました。
2人が走る先に、道端に止まってる4ドアセダンがあります。その運転席のドアのすぐ外側に隊長が立ってます。寒川隊員はその隊長を見て、
「隊長!」
隊長は応えます。
「ふふ、ごくろうさん!」
隊長は運転席の後ろの後部座席のドアを開け、駆けてきたすみれ隊員を見て、
「さあ、座って!」
すみれ隊員は後部座席に座りました。寒川隊員はトランクを開け、ギターケースを放り込んで閉め、次に助手席のドアを開け、座席に座りました。先に運転席に座ってた隊長は、寒川隊員の顔を見ました。
「どうだった?」
寒川隊員は満面の笑みで応えました。
「いや~ 久しぶりのストリートライヴ、しびれましたよ!」
路上。4ドアセダンが走り出しました。
再び車内。寒川隊員の発言が続いてます。
「けど、パトカーが来るなんて・・・」
隊長が応えます。
「やっぱ許可を取らないといけないのか?」
「ええ、でも、実際許可取ってストリートライヴやる人、見たことないっすねぇ・・・」
「う~ん、そっか・・・」
隊長は何気にラジオのスイッチを入れました。ラジオからの音声は緊急ニュースでした。
「連絡を絶っていた○○エアライン52便ですが、墜落が確認されました。現在レーダーを解析・・・」
それを聞いた寒川隊員。
「ええ、飛行機が墜ちたんですか?」
応える隊長。
「ああ、さっきからずーっと臨時ニュースでやってるよ。さっきまでは行方不明と言ってたが、やっぱ墜ちてたか・・・」
と、突然隊長の右手首のバンテージが振動し始めました。隊長ははっとしました。
「ん?」
隊長は片手でハンドル、もう片手で着てたジャケットのポケットに手を入れ、スマホを取り出しました。が、ふと横目で後部座席に座ってるすみれ隊員を見ました。そして笑いました。
「ふ、法律遵守、法律遵守」
路上。隊長が運転する4ドアセダンが左のウィンカーを出し、路傍に停止しました。
その車内。隊長はスマホを取り出し、寒川隊員を見て、
「ふ、ハンズフリー機能てやつを覚えないといけないかな、オレも?」
隊長はスマホに出ました。
「あ、もしもし、香川だ」
ここはテレストリアルガード基地オペレーションルーム。上溝隊員が受話器を握ってます。
「隊長。要請がありました!」
4ドアセダン内の隊長。
「飛行機事故か?」
「はい」
「わかった。橋本と倉見を向かわせてやれ」
「了解!」
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