君のテレストリアルガード 52(終了)

 赤い女の子は今度は女神隊員を見ました。

「女神さん!」

 いきなり呼びかけられ、女神隊員はびっくり。

「え?」

「地球を守るカギはあなたです! あなたの活躍があれば地球は守られます!

 で、でも、不思議なんですよ。私が見た夢では、地球は空飛ぶ巨大ヒーローによって救われることになってます。本当にあなたは空を飛べないんですか?」

「ごめん。私はそこまではむりみたい」

「そうですか・・・」

 ここで赤い女の子の口調が変わりました。

「ああ、悔しいなあ・・・ 私は16年しか生きることができなかった、せっかくメガヒューマノイドになったのに・・・

 けど、女神さん、あなたと過ごした最後の1年半はとても充実してました。

 私はここで消えます。ありがとうございました」

 赤い女の子の姿はふっと消えました。女神隊員は唖然としました。一方ストーク2号のコックピットの隊長は、何かを考えてるようです。


 夜はさらに深くなりました。街道を行くクルマのヘッドライトがまばゆく光ってますが、それ以外目だった光源はありません。新月なのか、月も出てないようです。テレストリアルガードの目印のような3階建てのビルも、ほとんど灯がありません。

 今このビルの屋上に2つの人影があります。1つは隊長、1つは女神隊員。女神隊員は特徴的な単眼を晒してました。

 女神隊員は望遠鏡で星を見てます。以前海老名隊員と一緒にこの屋上で使用した望遠鏡です。隊長は女神隊員の傍らに立ってます。望遠鏡の中には縞模様の星が映ってます。女神隊員はそれを見て、

「あれ、あの星、輪っかがない?」

 隊長が応えます。

「ふっ、あれは土星じゃないよ。木星だよ」

「え?」

「なんで土星を知ってるんだ?」

「隊長がいなかったとき、海老名さんと一緒にここで星を見たんですよ。この望遠鏡でした」

「あは、そんなことがあったのか・・・

 昔はえびちゃんとここでこうやってよく星を観察したんだ。いつの間にか星を見なくなったが、えびちゃんは覚えていたんだな」

 女神隊員は接眼レンズから眼を離し、隊長を見ました。

「淋しくなりますね」

「ああ・・・

 代わりに盛り上げてくれよ」

「あは、私が?」

 女神隊員は苦笑い。

「ふふ、がんばります!」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る