君のテレストリアルガード 51

 隊長は女神隊員の顔を見て、

「仕方がないな。ビーム砲で攻撃しよう」

 それを聞いて女神隊員は驚きました。

「ええ、相手は海老名さんですよ?」

「あいつはもう、元の海老名隊員じゃないんだ。間違った思想で暴走してるただの巨大怪獣だ!」

 隊長はボタンの1つを押しました。するとストーク号の腹から1基のビーム砲が現れました。

 コックピット。ここで隊長の指が止まりました。

「うう、ロックオンできない?」

 隊長は窓の外の巨大海老名隊員を見て、

「そっか、あいつは幻。レーダーで捉えることができないんだ・・・」

 女神隊員は隊長を見て、

「私が行きます!」

「行ってくれるか?」

 女神隊員は5点式シートベルトを外しながら、

「はい!」

 次の瞬間、女神隊員の姿はぱっと消えました。


 4車線の街道の上に巨大化した女神隊員が立ちました。女神隊員の視線の先は赤い女の子、元海老名隊員。赤い女の子は針葉樹林の真ん中に立ってます。

 女神隊員は赤い女の子の身体を目指そうと針葉樹林に入りました。が、すぐに阻まれました。針葉樹の高さは腰の高さまであります。針葉樹と針葉樹の間にはあまり隙間がありません。これでは前に進むことは不可。女神隊員はほぞを噛みました。

「ちっ」

 女神隊員は赤い女の子を見ました。

「なんであんなところに行けたの?

 隊長の言う通り、あいつはただの巨大怪獣。こうなったら・・・」

 女神隊員は右手を水平に挙げ、その手首を左手で保持。右手の指で拳銃を作りました。女神隊員から見た自分の右手の人差し指と、そのはるか先に立ってる赤い女の子。

 ビシッ! 女神隊員は指先から光弾を発射。光弾が女の子の左肩に命中。が、光弾は着弾しません。そのまま突き抜けて行きました。驚く女神隊員。

「ええ?」

 ストーク2号から女神隊員に呼びかけ。

「女神隊員、もういい!」

 隊長は再び赤い女の子を見ました。

「えびちゃん、おまえはユミル星人に身体をバラバラにされ、両親も学校の仲間もすべて殺された。

 お前、たくさんの人を殺したろ。お前が殺した人の中には、小さな子どももいたんだぞ。おまえがやった行為は、ユミル星人がお前にやった行為とまったく同じじゃないのか? そんなこともわからんようになったか?」

 すると赤い女の子は感情的に応えました。

「違います! 私は地球の未来のためにやったんです! ユミル星人あいつらと一緒にしないでください!」

 そして冷静な口調になり、

「数年後にまた宇宙人が攻めてきます」

「ああ、知ってるよ。お前、オレに教えてくれたろ」

「はい、そこまでは教えました。けど、ここから先は話してません。

 実は・・・ 隊長は最初の迎撃で戦死します!」

 それを聞いて女神隊員はびっくり。一方、ストーク2号のコックピットの隊長は、顔色一つ変えてません。赤い女の子の発言が続きます。

「隊長はすみれをかばって死にます! 隊長が戦死したせいで戦況は一気に悪化して、地球はあっという間に占領されてしまいます!」

 隊長の質問。

「オレにどうしろと言うんだ?」

「すみれを戦場に連れていかないでください。それだけで最悪は回避できます。地球はテレストリアルガードで守られます!

 簡単ですよ。すみれをメガヒューマノイドに改造しなければいいのです!」

 隊長は無言です。

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