君のテレストリアルガード 50

 隊長は女神隊員を見て、

「女神隊員、出動だ!」

 橋本隊員。

「隊長、自分たちも一緒に!」

 けど、隊長は何か考えがあるようです。

「いや、今は女神隊員だけで十分だ」

 女神隊員は応答しました。

「わかりました!」


 ここはテレストリアルガード基地滑走路。今ストーク2号が反重力エンジンを使って浮上してるところ。

 そのコックピット内。隊長と女神隊員が並んで座ってます。操縦してるのは隊長。隊長が大きな声で宣言。

「近場だ。このままジェットエンジンで行くぞ!」

 女神隊員が応えます。

「了解!」

 ストーク2号のジェットエンジンが点火。ストーク2号は急発進しました。


 針葉樹林の中、逃げる大島さんとそれを追い駆ける巨大化した赤い女の子。針葉樹と針葉樹の間は狭く、枝がびっしり。それに対し赤い女の子は巨人。この間を進むとなると枝を折るなど、かなり大きな音がするはず。なのに赤い女の子は無音のまま、針葉樹林を突き進みます。

 走る大島さんのアップ。

「くそーっ、まだ来ないのかよーっ!」

 と、遠くからジェット機の爆音が聞こえてきました。ストーク2号のようです。それを聞いて大島さんの顔に余裕が。

「ふ、来たか!」

 爆音は赤い女の子の耳にも届いてます。赤い女の子は爆音が聞こえてくる方向を見ました。近づいて来るストーク2号。赤い女の子がつぶやきます。

「隊長・・・

 もう遊んでるヒマはないか・・・」


 駆けていてた大島さんはふいに立ち止まり、大きな針葉樹の幹に隠れました。幹を背に息を整える大島さん。

「はぁはぁはぁ・・・

 た、た、助かった・・・」

 が、ここで大島さんはふと何かを感じ、顔を上げました。

「ええ?」

 なんと眼の前に巨大化した赤い女の子が立っていたのです。

「ああ・・・」

 赤い女の子の眼はフードの隙間から大島さんをにらみつけてます。と、大島さんの眼から生気が消えました。心を乗っ取られたようです。

「あはははは」

 大島さんは不気味に笑うと、拳銃を握った右手を自分の側頭部に。こめかみに押し当てられれる銃口。銃爪ひきがねにかかる大島さんの指がゆっくりと動きます。

 ダーン! 大島さんの脳みそが木端微塵に飛び散りました。


 漆黒の夜空、現場に向かうストーク2号。そのコックピット。女神隊員が前を見て驚いてます。

「あ、あれは・・・」

 巨大化した赤い女の子が振り返り、ストーク2号に身体を向けました。その眼はフードで隠れてます。コックピットの隊長がぽつり。

「あれが怪獣か・・・」

 コンソールに設置されてるモニターが倒れてる大島さんを捉えました。側頭部からドバドバ血が噴き出してます。それを見て隊長は残念がってます。

「ち、遅かったか・・・」

 ストーク2号は赤い女の子の前に空中停止しました。外部スピーカーから隊長の声が。

「海老名隊員、なんで人を殺す?」

 赤い女の子は右手で赤いフードをめくりました。露わになったその顔は、やはり海老名隊員でした。

「テレストリアルガードを守るためです!」

 ストーク2号のコックピット。隊長がマイクを握ってます。

「我々テレストリアルガードが守るべきものは地球だ。テレストリアルガードなんかじゃないぞ!」

 赤い女の子は応えます。

「テレストリアルガードを守らなくっちゃ、地球は守れません!」

 コックピットの隊長は小声で、

「ち、わからず屋が・・・」

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