君のテレストリアルガード 46

 クルマがゲートの前で停止しました。途端にいくつかの人影が現れ、フラッシュ撮影開始。そう、ここはテレストリアルガードの基地の入り口。カメラを持ってる人はパパラッチ。いまだに女神隊員の単眼を狙うパパラッチがゲートの前にたむろってるのです。

 ゲートが開き、クルマが基地の中に入って行きました。


 テレストリアルガード基地サブオペレーションルーム。引き分けの自動ドアが開き、大島さんが入ってきました。

「お邪魔するよ」

 それにサブオペレーションルームにいた全員、隊長・橋本隊員・上溝隊員・寒川隊員・女神隊員が反応します。ただ、「いらっしゃい」など、出迎える言葉を発した隊員は1人もいません。代わりに隊長が、

「おや、大島さん、なんの用ですか?」

 と、なかば人を喰ったような言葉を発しました。どうやら大島さんは歓迎されてないようです。当の大島さんは卵型のテーブルのイスに座りながら、

「ふ、本当は昨日来るつもりだったが、警察やテレストリアルガードに身柄をずーっと拘束されててね。やっと来ることができたよ」

 隊長。

「ん、警察に?」

 大島さん。

「赤い女の子だ」

 赤い女の子。隊長は3日前、隊長の掌から呪い石をかすめ取った赤いマント・赤いフードの女の子を反射的に思い浮かべました。わずかですが、それが隊長の態度に出ました。大島さんはそれを見て、

「ふ、やっぱ、あんた、知ってんな」

 隊長はしらばっくれます。

「ふ、なんのことやら」

 女神隊員もかつて対峙した赤いマント・赤いフードの女の子を思い浮かべました。ちなみに、今の女神隊員はヘルメットを被ってました。

「赤い女の子てなんですか?」

 それは寒川隊員の質問。大島さんはその寒川隊員を見て、

「ふ、あんたも赤い女の子を知ってるんじゃないのか? ま、知らないという前提で教えてやろう。

 昨日テレストリアルガード本部のビルで発砲事件があった。次期隊長に内定した男が・・・」

 それを聞いて橋本隊員、上溝隊員、寒川隊員、女神隊員が反応しました。

「ええっ、次期隊長?」

 大島さんは隊長を見て、

「そこにいる隊長はここで退任、他の隊長を就任させる予定だった。けど、その次期隊長が会議の途中、突然暴れ出したんだ。

 やつは拳銃を乱射した。いや、乱射じゃないな。15人の会議参加者の脳みそを正確に撃ち抜いたんだ。そして16発目、最後の弾丸で自分の脳みそを撃ち抜いた」

 橋本隊員。

「ふふ、ご冗談を。そんだけの大きな事件があったら、当然ニュースになると思いますが?」

 大島さん。

「何分テレストリアルガード本部ビルの中で起きた事件なものでね。殺害された会議参加者も重要人物ばかり。だからマスコミには事件を公表してないんだよ」

 寒川隊員。

「けど、テレストリアルガード本部ビルはセキュリティチェックがむちゃくちゃ厳しいはず。どうやって拳銃を持ちこんだんだ?・・・」

 大島さん。

「ふふ、その通り。テレストリアルガード本部ビルは、入ると同時に自動的にセキュリティチェックが行われるシステムになってる。一見するとただ歩いて通り過ぎるだけだが、実際は金属探知機やX線やサーモグラフィなど、数種類の検査を受けることになっている。なのにあの男は、それらのチェックをすべて平気ですり抜けたんだ。

 いろいろと実験したが、実際拳銃を持ってあのチェックをすり抜けることはできなかった。どうやってすり抜けることができたのか、てんでわからないんだ・・・」

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