君のテレストリアルガード 44

 と、ここで次期隊長はあることに気づき、はっとしました。

「うう?」

 テーブルの向こう側に相対して着席してる会議の参加者。その背後に女の子が立ってました。赤いマント、赤いフードの女の子です。その顔は赤いフードを目深に被ってるせいで見えません。

 他の会議参加者が再びざわつきました。次期隊長が突然演説をやめたからです。どうやら次期隊長以外、赤い女の子は見えてないようです。大島さんが次期隊長に声をかけました。

「吉沢さん?」

 当の次期隊長はかなり焦ってました。瞬間的に移動してきたのか、赤い女の子が目の前のテーブルの上に立ってるのです。

「お、お前、誰だ?」

「あなたはテレストリアルガードの隊長にふさわしくありません」

 次の瞬間、次期隊長の眼から輝きが消えました。まるで心を乗っ取られたような感じ。

 と、次期隊長はおもむろに襟からスーツの内側に手を入れ、そしてすぐにその手を抜きました。なんとその手には自動式拳銃が握られてました。

「きゃーっ!」

 会議に参加してた女性が悲鳴をあげました。不気味に笑う次期隊長。

「あはははは~!」

 次期隊長はその拳銃を無造作に構えました。

「やっ、やめろーっ!」

 拳銃を向けられた会議参加者は慌てて後ろを向いてその場から逃げようとします。次期隊長は委細構わず銃爪ひきがねを引きました。バキューン! ぐしゃ! その人の後頭部に銃弾が当たり、脳みそが飛び散りました。

「うわーっ、助けてくれーっ!」

 会議参加者がクモの子を散らすように逃げます。

「あはははは~!」

 次期隊長は拳銃を次々と発射。1発撃つたびに会議の参加者の脳みそが吹き飛びます。中にはドアを開け、部屋を出る寸前で頭を撃ちぬかれてしまった人もいました。焦る土屋議員。

「なんなんだ、これは!?」

 次期隊長の拳銃の銃口が土屋議員に向けられました。それを見て土屋議員の秘書が土屋議員の前に立ちふさがります。

「やめろ!」

 次の瞬間次期隊長が拳銃を発射。その銃弾が秘書の額に命中。秘書は真後ろに転倒。巨大な身体は土屋議員の身体を巻き込んでしまいました。

「うわっ!」

 秘書の下敷きになってしまった土屋議員。顔と右腕しか出てません。次期隊長はその額に向け、真上から拳銃を突き付けました。

「あはははは!」

 土屋議員は叫びます。

「やめろーっ!」

「あはははは、死にたいのか? そんなに死にたいのか? でもなあ、残念だなあ、この拳銃にはあと1発しか弾丸が残ってないんだ。これは自分に使わないと」

 と言うと、次期隊長は自らの口の中に銃口を押し込み、なんら躊躇することなく銃爪ひきがねを引きました。バキューン! 脳みそが後方に砕け散りました。唖然とする土屋議員。

「あ・・・ ああ・・・」

「なんでこんなくだらない会議を開くんですか? テレストリアルガードの隊長は香川さん以外、考えられませんよ」

 それは突然の声でした。仰向けになってる土屋議員は、頭頂部のあたりからその声を聞きました。土屋議員が慌てて身体を捻り、頭の上の方を見ると、そこには赤いマント、赤いフードの女の子が立ってました。

「お、お前はいったい?・・・」

「あなたには子どもが3人いますね。その3人がどうなっても知りませんよ」

 と言うと、赤い女の子は消滅しました。土屋議員は唖然としてしまいました。

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