君のテレストリアルガード 31

 田村が海老名隊員の顔をのぞき込んで驚きました。

「ア、アニキ、こいつ、瞳孔が開いてますよ」

 横内は海老名隊員の身体を放します。

「や、やべ・・・」

 海老名隊員の身体がアスファルトに無残に転がりました。

 ま、まずい・・・ 横内は身体を震わせ、

「お、おい、みんな、ずらかるぞ!」

 が、ここで、

「おい、お前ら、何やってんだ?」

 の声が。3人が振り向くと、そこには香川隊長が立ってました。隊長は3人の足下に倒れてる海老名隊員を見て、愕然としました。

「え、えびちゃんなのか?・・・」

 怒号をあげる横内。

「なんや、おっさん!」

 わなわなと振るえる隊長。

「おまえら、そのに何をした?」

 今度は田村が応えます。

「はあ? こいつがケンカふっかけてきたんじゃ! 正当防衛じゃ!」

 高村。

「そうだ! 被害者はこっちだ!」

「ふざけんな!」

 隊長は拳を振り上げ、3人に突っ込んでいきます。

「うぉーっ!」

 高村がニヤッと笑みを浮かべました。次の瞬間、高村は右腕を横に振りました。

「喰らえ!」

 隊長の顔面に鋭い傷みが走りました。

「うぐっ・・・」

 うずくまる隊長。隊長の左ほほに大きなみみず腫れが。高村の右手には自転車のチェーンが握られてました。これを武器に使ったようです。笑う高村。

「へへへ。いきがるんじゃねーよ、おっさん!」

 横内。

「おい、みんな、やっちまえ!」

 うずくまる隊長に突っ込んで行く3人。

「うぉーっ!」

 その瞬間、隊長の眼が不気味に光りました。次の瞬間、隊長の身体からまばゆい光が3つ飛び出し、3人の肩に命中。3人はもんどりうって倒れます。

「ぐぉーっ!」

「うぎゃーっ!」

「いてーっ!」

 隊長は立ち上がります。その手にはレーザーガンが握られてました。

 隊長は再び倒れてる海老名隊員を見ます。海老名隊員の身体は、まったく動いてません。隊長は茫然とします。

「そ、そんな・・・」

 そして吼えました。

「うぉーっ!」

 隊長は倒れてる横内の額にレーザーガンをつきつけました。

「おまえ、あの娘に何をやった!」

「さあな」

「撃つぞ!」

「ああ、撃ってみろよ! あんた、レーザーガンを持ってるところを見るとテレストリアルガードの人間だろ? こんなところでオレを撃ち殺したら、あんた、テレストリアルガードクビになるんじゃねーのか?」

「じゃ、試してみるか?」

 隊長はレーザーガンの銃床に付いているスライド式のボタンに触れ、それを端っこに移動させました

「さっきは拳銃モードで撃ったが、今度は機銃モードだ。これで撃てば、お前の頭は木端微塵、一気にあの世逝きだ。こいつで撃ってやるよ!」

 横内は不敵に笑います。

「はあ? どうせ脅しだろ? おっさん」

 と、その口の中に銃口が押し込まれました。

「じゃ、撃ってやるよ!」

 再び吼える隊長。

「うぉーっ!」

 隊長の眼は殺意に満ちてます。横内はその眼に気づきました。横内の顔が急激に青ざめました。

「や、やめろーっ!」

 隊長が銃爪ひきがねを引きます。バキューン そのとき銃口は、横内の口内ではなく、横内の左耳を削ぐように向けられてました。ほとばしる鮮血。悲鳴をあげる横内。

「うぎゃーっ!」

 隊長は立ち上がり、吐き捨てました。

「ちっ、テレストリアルガードの隊長なんかやってなきゃ、お前のド頭なんか、平気でブッ飛ばしてやったのに・・・」

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