君のテレストリアルガード 29

 隊長はスマホのアイコンの1つをクリック。すると再び驚きました。

「え?」

 隊長はそのまま振り返り、橋本隊員と寒川隊員を見ました。

「あ、悪いが、ちょっと行くところができた。先に基地に帰っててくれないか?」

 橋本隊員と寒川隊員は眼と眼を合わせて、

「はぁ・・・ わかりました」

 と返事。2人は空気を読んだようです。2人は近くに駐めてあったテレストリアルガード専用車に乗り込みました。走り出す専用車。隊長はそのクルマを見送ると、再びスマホの画面を見ました。

「ふっ、えびちゃんの身体にGPS発信機を取り付けておいて正解だったよ」

 隊長はスマホの画面を凝視して、

「しかし、なんであいつ、こんな近くにいるんだ? 犯人を捕まえる気か?・・・

 まさか、あいつ、正夢か何かで犯人の目星をつけたんじゃ?・・・

 いや、ちょっと待てよ・・・」

 隊長は海老名隊員のセリフをふと思い出しました。

「2人とも同一人物に襲われ、頭に重大なケガを負って、数日後に死にます」

「まさか、2人目はえびちゃん自身じゃないんだろうなあ?・・・

 ふっ、あいつの頭蓋骨はチタン合金になってるんだ。頭にケガして死ぬなんて、絶対ありえないだろって。

 そういや、この事件を事前に阻止するためにあいつを再びメガヒューマノイドにしたんだっけ・・・

 だからと言って、学校に行かないで1人で捜査に夢中になるなんて、やっぱあいつはダメだな。しょうがないなあ。また怒鳴り付けないといけないのか?・・・」

 隊長はスマホを見ながら歩き始めました。


 ここは繁華街にある高架線路の駅。昭和40年代からあるて感じの、ちょっと歴史を感じる小さな駅です。

 その駅の1階。改札はさすがに最新式。今この改札にICカードをタッチする少女の姿が。制服からして女子中学生です。顔を見たら、海老名隊員でした。

 海老名隊員は駅前の小さな広場に立つと、ニヤッと笑みを浮かべました。

「ふふ、犯人はこの町にいる!」

 海老名隊員は歩き始めました。


 ここはかなり古いビルディング。場所は先ほどと同じ街のようです。中身は雑居ビル、一部は集合住宅のようです。

 ここはその中の部屋。寝室。ダブルベッドがあり、2人が寝てます。2人とも裸のようです。1人は横内です。もう1人は女性。30代後半て感じ。かなり大きな胸。

 横内は眼を醒ましました。

「ん・・・ そろそろ行くか」

 女も眼を醒ましました。

「う~ん・・・ え、もう行くの?」

 横内は服を着てます。

「悪いな。仕事なんだ」

 横内がドアを開けました。そこは居間。田村がソファ|(カウチ)に毛布を被って、高村が床に寝袋の中で寝ています。

「おい、起きろ」

 横内のその発言に田村と高村がふぁ~と眼を醒ましました。田村は横内の顔を見て、

「アニキ~ ものすごい声でしたねぇ。こっちは眠れませんでしたよ」

 高村の発言。

「アニキ、オレにも女を紹介してくださいよ」

 横内が応えます。

「バカ言うなよ。自分で探せ! さあ、行くぞ!」


 狭くて長くて急な鉄砲階段。そこを降りると半畳くらいの床があり、さらに銀色の安っぽいドアがあります。今横内がそのドアのノブに手を掛けました。


 外は繁華街の路地。道の両端には呑み屋など小さな店舗が並んでます。朝のせいか、すべての店は閉まったまま。

 少しだけ開いたドアから横内が顔だけ出しました。

「警察はいない・・・な。よし、行くぞ!」

 横内がドアを出ました。田村と高村も横内に続きます。

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