君のテレストリアルガード 18

 5分後ワンボックス車からいつものテレストリアルガードの隊員服を着た海老名隊員が出てきました。それを見て隊長以外のテレストリアルガードの隊員がまた驚きの表情を見せました。

「ええ?・・・」

 下島さんの説明。

「電子の鎧を脱いだんですよ。専門のドレッシングルームを使えば1秒で脱着できます」

 海老名隊員ははにかむ表情を見せました。

「あは、このつなぎ、着るのに5分もかかっちゃった」

 海老名隊員はすみれ隊員を横目で見ました。そして思いました。

「ふふ、あなた、右手は生身のままなんでしょ? 腕が生身だと姿勢制御用のミニエアジェットエンジンは取り付けることはできないはず。私を越えることは絶対できない!

 でも、この死神の匂い、強烈。絶対何か起きるよ・・・」


 翌日のこと。ここはテレストリアルガード基地サブオペレーションルーム。引き分けの自動ドアが開き、隊長が入ってきました。中では海老名隊員がテーブルに座って、テレビを見ながら、ノートパソコンでインターネットをやってました。テレビの中はアニメです。どうやら入院中録り溜めてたアニメのビデオを見てるようです。

 この海老名隊員の姿を見て、隊長は呆れました。

「おいおい、おまえなぁ、せっかくメガヒューマノイドに再改造してやったんだから、少しは動いてくれよ!」

 海老名隊員はノートパソコンのキーボードを叩きながら、

「え~ 何をやればいいんですか?~」

 海老名隊員は話半分て感じ。

 隊長はちらっとオペレーションルームを見ました。いつもの席に上溝隊員はいません。それを確認して、海老名隊員を見て発言。

「お前、言ってたろ。テレストリアルガードの隊員が2人、同じ人間に襲われ、頭に大ケガを負って、数日後に死ぬって。それを阻止してみろよ。それを期待してメガヒューマノイドに改造してやったんだぞ!

 もしかして、あの予言はウソだったのか?」

「ええ~ ウソじゃないですよ~」

「じゃ、いつ、誰と誰が、どこで、どのようにして死ぬんだ?」

「だからぁ、それがわからないんですって・・・」

「う~ん・・・ お前の予言て、結構精度が低いからなあ・・・ 女神だって自由に空を飛べる巨大ヒーローが地球に降りて来ると言ってたのに、あいつ、ぜんぜん空を飛べないじゃないか!」

 海老名隊員はごまかすようにウィンクしながら舌を出して、

「てへぺろ」

 と発言。隊長はさらに呆れます。

「おい、なんだよ、その顔は? 日○陽○のつもりか?」

 と、ここで隊長は本題を思い出しました。

「あ、そう言えば、すみれのメガヒューマノイド改造手術の概要が決まったぞ」

 それを聞いてノートパソコンのキーボードを叩いてた海老名隊員の指が止まりました。海老名隊員の眼が真剣になりました。海老名隊員はすみれ隊員のことが気になって気になってしょうがないのです。彼女のことに関しては真面目に聞くようです。

 隊長の説明が続きます。

「この前反重力エンジンを付けたドローンを飛ばしたよな。あのエンジンをさらに進化させ、すみれに取り付けるそうだ」

「ええ?・・・」

「これであいつも空中停止できるようになるぞ」

「そんなあ・・・ 私にも反重力エンジンを付けて下さいよ!」

「はあ? あいつは生殖にかかわる部分まで失われてしまったんだぞ。その分改造できるキャパシティーが広いんだ。お前は生殖にかかわる部分は全部そのまま。お前は子どもを産める身体なんだぞ。そんなぜいたくを言うなって!」

 海老名隊員はふくれっ面で黙ってしまいました。

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