君のテレストリアルガード 17
下島さんの説明が続きます。
「細かい説明は省きますが、理論上は半永久的に飛ぶことができます」
今度は上溝隊員どころか、橋本隊員、倉見隊員、女神隊員もびっくりしました。
「ええーっ!」
橋本隊員は飛行してる田村佐恵子を思い出したました。
「そういや田村佐恵子も飛んでるときは無音だったな」
海老名隊員は高速で飛びながら、横目ですみれ隊員を見てます。そしてニヤッとした顔で思いました。
「ふふ、どう? あなたにこれができる?」
すみれ隊員も海老名隊員を眼で追ってます。そしてぽつりとつぶやきました。
「私も飛びたい」
それを真横で聞いて、隊長はびっくり。
「ええ?」
すみれ隊員は再び、
「私も飛びたいです!」
と、力強く発言。めったに口をきかないすみれ隊員がはっきりと宣言しました。これはよほどのことです。隊長は下島さんを見ました。
「この娘をメガヒューマノイドに改造することはできますか?」
「ええ、もちろん」
けど、それにを聞いて寒川隊員は残念そう。
「ええ・・・」
そうです。寒川隊員はすみれ隊員とユニットを組んでプロの歌手になるのが夢です。すみれ隊員のヴォーカルはそれだけの実力があるのです。でも、メガヒューマノイドを希望するということは、音楽の道はもうどうでもよくなったという印。この発言はショックです。
隊長はそんな寒川隊員に気づき、声をかけました。
「寒川、安心しろ。メガヒューマノイドに改造しても、戦闘には極力参加させないつもりだ。お前とすみれは音楽に専念しろ」
でも、寒川隊員は憮然としたままです。
下島さんが隊長に話しかけました。
「しかし、彼女はいろんな意味でメガヒューマノイドに耐えられるかどうか、その問題が残ってます。前の主幹はやる気があったようですが、私はちょっと・・・」
すると隊長が、
「私が責任持ちます。ぜひこの娘をメガヒューマノイドにしてやってください!」
「ふふ、わかりました」
けど、ここは寒川隊員にも気を使わないといけません。
「ただ、今回はなるべく早く改造手術を終わらせて欲しいのですが・・・」
「てことは、頭蓋骨の置換手術は・・・」
「それはあとで、てことにしましょう」
「わかりました。
彼女はもともとメガヒューマノイドになる予定でした。だからある程度改造は済んでます。1週間もあればメガヒューマノイドになることができますよ」
それを聞いて隊長の顔は笑顔になりました。
「ああ、そうですか」
寒川隊員も安心した顔を見せてます。
こうして海老名隊員のメガヒューマノイドお披露目の日に、すみれ隊員のメガヒューマノイド改造手術が決まりました。
なお、海老名隊員は飛行しながら隊長たちの会話の一部始終を聞いてました。海老名隊員の右耳は義耳で、眼(両眼とも義眼)が捉えてる物体(人物)の音を超指向性マイクで拾う能力があります。これは今回の改造手術で新たについた機能です。
海老名隊員はニヤッと笑いました。
「ふ、あなたもメガヒューマノイドになるつもり? ふふ、ムリムリ。あなたが飛ぶイメージなんてぜんぜんないから」
海老名隊員は両腕・両脚の姿勢制御用エアジェットエンジンを使って、地面にゆっくり降下を始めました。そのまま危なげなく着地。そしてみんなを見ました。
「ちょっと待っててください」
そう言うと、海老名隊員はワンボックス車に乗り込みました。
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