君のテレストリアルガード 16

 下島さんがテレストリアルガードの隊員に向かって大きな声を発しました。

「いよいよ完成しました。メガヒューマノイド! これからみなさんにお披露目します!」

 下島さんは振り返り、ワンボックス車を見て、

「さあ、海老名さん!」

 ワンボックス車の側面のスライドドアが開き、中から真っ赤な電子の甲冑をまとった低身長の人物が出てきました。唯一剥き出しになってる顔を見ると、それは海老名隊員でした。メガヒューマノイド海老名隊員のお披露目です。

 デザインは前回よりちょっとスリムになってます。ゴテゴテとした田村佐恵子のそれと比べると、かなりスリムです。

 これを見て隊長とすみれ隊員以外のテレストリアルガードの隊員が一斉に、

「ほ~」

 と、感嘆な声をあげました。今度はそれを見て海老名隊員がニヤッとしました。そしてその眼は自然とすみれ隊員を捉えました。で、思いました。

「あなたがすみれ? 本当にぼーっとしてる。こんなやつがテレストリアルガードの隊員、務まるの?」

 実は海老名隊員とすみれ隊員はこのときが初対面でした。海老名隊員はすみれ隊員を直に見て、何かを感じたようです。再び心の中で発言しました。

「けど、こいつ、死神の匂いがプンプンしてる・・・ 会う前からうすうす感じてたけど、実際会ってみたら、死神そのものって感じ・・・」

 下島さんはうわの空になってる海老名隊員が気になり、小声で話しかけました。

「海老名さん、海老名さん」

 海老名隊員は我に還りました。

「あは、すみません」

 海老名隊員は今度はみんなを見回して、

「みなさん、ようこそ! これから私の本当の力を見せます! 見ててください!」

 と宣言。すると背中のハッチが開き、エアジェットエンジンが点火。海老名隊員の身体が上昇して行きます。それを見て橋本隊員・倉見隊員・上溝隊員・寒川隊員・女神隊員がびっくり。上溝隊員の驚きの声。

「す、すごい・・・」

 その声を聞いて海老名隊員はさらにニヤッとします。

「ふふっ」

 海老名隊員の両二の腕・両太もも・両すねのハッチが開き、そこから小さなエアジェットエンジンが現れ、点火。海老名隊員の身体は宙に静止しました。それを見て寒川隊員が発言。

「うわっ、空中に静止することができるのか? 田村佐恵子はこんなことできなかったよな・・・」

 その発言が海老名隊員の耳に届きました。

「田村佐恵子? ふっ、あんなのと一緒にしないで!」

 海老名隊員は頭とつま先を結ぶ線を軸にくるくると廻り始めました。

「あははは。どう、田村佐恵子はこんなことできなかったでしょ?」

 海老名隊員は楽しそう。それを見て倉見隊員が驚きの声を発しました。

「ええ、くるくる廻ることができるのか?・・・」

「まだまだーっ!」

 と言うと、今度は海老名隊員の背中のエアジェットエンジンが大きく点火。海老名隊員の身体は急発進。ものすごいスピードで飛び始めました。それを見て橋本隊員が驚きました。

「なんて速さだ!」

 下島さんがそれに応えました。

「まだ調整中ですが、マッハ2.5以上のスピードが出ますよ」

 それを聞いて橋本隊員がびっくり。

「ええ?・・・」

 ここで上溝隊員はあることに気づきました。

「あれ、音が?・・・」

 そうです。海老名隊員はジェットエンジンで飛んでるのに、空を切る音以外まったく音がしてこないのです。下島さんは再び応えました。

「あれはエアジェットエンジンです。一見すると燃焼してるように見えますが、実は何も燃焼してないんですよ」

 今度は上溝隊員がびっくり。

「ええ~?・・・」

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