君のテレストリアルガード 15

 寒川隊員は思うところがあってテレストリアルガードに入隊しましたが、それでもロックンローラーの夢は捨て切れてません。そこにこの言葉です。寒川隊員のさっきの迷いは一気に吹き飛びました。寒川隊員は俄然やる気が出てきました。


 その日から寒川隊員は毎日のようにギターを弾き、すみれ隊員は歌いました。すみれ隊員の歌声はどんどんどんどん向上していきます。そのうち寒川隊員は、ライブに出ることを考え始めました。その前にストリートミュージシャンとして街角に立ってみるか・・・

 はたしてすみれは人前で歌えるのか? オーディエンスの反応は? 寒川隊員は心配になりましたが、それ以上の希望を感じてました。


 ここは晴天下の上空。すぐそばに巨大な富士山が見えます。今1機の飛行機がこつ然と現れました。ストーク号を一回りり小さくし、さらにスリムにしたようなフォルムです。この機体はクレイン号、テレストリアルガード専用機の1つです。

 そしてここはクレイン号機内。コックピットとキャビンを合体したような室内。コックピットには橋本隊員と倉見隊員が座ってます。橋本隊員の発言。

「ジャンプアウト完了!」

 倉見隊員が計器類を見て、

「チェック、ライトオールグリーン!」

 操縦席の背後には一般座席があり、そこには隊長・上溝隊員・寒川隊員・女神隊員・すみれ隊員が座ってます。全員テレストリアルガードの隊員服を着てます。女神隊員は今日はフルフェイスのヘルメットでした。なお、座席はすべてで50座席近くはありそうです。

 寒川隊員が横に座ってる上溝隊員に話しかけました。

「クレイン号に乗るの、いつ以来ですか?」

「さぁ、女神さんが来てからは、初めてよね」

 話を振られた女神隊員が応えました。

「ええ、私、初めて乗りました。機体を見るのも初めてです」

 隊長は横に座ってるすみれ隊員に話しかけました。

「これから会う人は、君のお姉さんのような存在だ。ま、年齢も身長も君の方が上だがな」

「私の姉?・・・」

 すみれ隊員は珍しく反応しました。

 操縦席の倉見隊員が大きく発言。

「目的地に到着!」

 隣りの操縦席の橋本隊員がそれに呼応します。

「ジェットエンジン停止! 反重力エンジン起動!」

 するとクレイン号のジェットエンジンが停止。そのままゆっくりと垂直に降下し始めました。途中から着陸ギヤが出て、だだっ広い草むらに着陸。ワンテンポ置いてクレイン号の腹の下に淡い円筒形の光が発生。その中に複数の人影が現れました。淡い光が消えると、それは隊長たち一行でした。隊長は後方の部下たちを横目で見て、

「よし、行こう!」

 一行が隊長を先頭に歩き始めました。女神隊員はあたりを見回しました。あたりは起伏の激しい草原。すぐそばに巨大な富士山が見えます。これを見て女神隊員は驚きました。

「あれ、ここ、見たことあるような?・・・」

 実はこれらは女神隊員の記憶にある風景でした。女神隊員は前を歩く隊長に話しかけました。

「隊長、ここって?」

「ああ、去年ワラビを採ったところだ」

「やっぱり」


 隊長を先頭に歩くテレストリアルガード一行。その行く先にかなり大きなワンボックス車が見えてきました。その前に大島さんと下島さんが立ってます。大島さんの着衣はいつものジャケット。下島さんもいつもの白衣です。

 隊長が2人に手を差し出しました。

「どうも」

 まず大島さんが隊長と握手。

「こちらこそ」

 次に下島さんが隊長と握手。

「お待ちしてました」

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