君のテレストリアルガード 13
「でも、おっぱいの大きな女の子が好きなんでしょ、隊長って?」
「おいおい、そんな趣味はないぞ、オレには」
「だって、Hカップの上溝さんを使ってるじゃん」
「ええ、Hカップ? あいつ、そんなに大きいのか?」
「うん、上溝さんが言ってた」
「あは、そっか。
上溝はオレがテレストリアルガードの隊長になる前からいるぞ。お前だって覚えてんだろ?」
「そう言えば前の前の隊長のときに上溝さんが隊員になりましたね。じゃ、その人が巨乳好きだった?」
「脚の方は? なんで5cm伸ばして欲しいと申し出たんだ?」
「あは、私、今身長が140cmしかないんです」
これはウソ。本当は139cm。海老名隊員は言葉を続けます。
「最低でも145cm欲しいなあ・・・」
「下島先生はなんと言ってるんだ? 5cm伸ばしてくれるってか?」
「あは、いきなりそんなこと言われてもムリって言われちゃいました」
「まあ、そうだろうなあ・・・」
「でも、次の点検のときに伸ばしてくれるって」
「5cm?」
「う~ん、具体的な数字は言ってなかった。5cmだといいなあ・・・」
「いきなり伸ばすのもなんだから、2cmか3cmだろうな」
ここで海老名隊員がワンテンポ間を空け、声色を変え、質問しました。
「隊長。すみれ、来ました?」
「ああ、来たよ」
「どんな感じ?」
「噂に聞いてた通り、何を訊いてもな~んにも反応しないんだよ。自分で招き入れたとはいえ、こりゃあリアルで困ったよ。でも、寒川の歌には反応してたな」
「ええ、もしかして尾崎豊?」
「ああ」
「もう、尾崎○香の方がずーっといいのに」
今度は隊長がワンテンポ間を空け、質問しました。
「おまえ、すみれと会うのが嫌で1ケ月の入院を選んだんじゃないのか?」
「あは、まさかあ~
以前隊長に話しましたよね。近々テレストリアルガードの隊員が2人、頭に致命傷を負って数日後に死ぬって」
「ああ」
「あれ、もしかしたら私のような気がしてきたんです。私の頭蓋骨はメガヒューマノイド手術のとき、耳から上が強化プラスティックに変えられました。けど、それだと心許ないんです」
「それで、チタン合金に?」
「はい。今回の手術で私の頭蓋骨は完全にチタン合金になります。これなら金属バットで殴られたって無傷ですよ」
「おいおい、そんなことされたら、首がやられちまうだろって。
しかし・・・ いったい誰と誰が死ぬんだ?」
「さあ、本当にわからないんですよ」
「う~ん・・・」
隊長はいろいろと考えました。死ぬのは誰か? 話の内容から隊長自身ではないようです。海老名隊員も違う。事件のあと自分がクビになって、それで女神隊員が怒って街を破壊すると言ってた。だとすると、女神隊員も違う・・・
てことは、橋本隊員・倉見隊員・寒川隊員・上溝隊員、それにすみれ隊員のいずれか2人。
海老名隊員に予知能力があることはテレストリアルガードの隊員には伝えてません。けど、みんな、なんとなくわかってるようです。なら、この予知をみんなに伝えてみようか?
でも、隊長ははいまいち決断できないようです。ここは態度を保留しました。
「じゃ、これで。また来るよ」
と言うと隊長は振り返ろうとしましまた。が、
「隊長、今日は私の誕生日ですよ」
それは海老名隊員の言葉でした。それを聞いて隊長は動作を止めました。
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