赤ン坊殺しの英雄 21

 その発言に隊長が反応しました。

「バカ言うな! 幼稚園児を誘拐しておいて、何が正々堂々だ! バカも休み休み言え!」

「くーっ・・・」

 田村佐恵子の背中のエアジェットが点火。田村佐恵子の身体は隊長に向かって急発進しました。

「次はお前だーっ!」

 隊長は倉見隊員と寒川隊員に命令しました。

「あいつにはいろいろと訊きたいことがある。絶対殺すなよ!」

 それに2人が応えました。

「了解!」

 さらに寒川隊員の発言。

「首から下を狙いますよ!」

 3人が大きなレーザーガンを発射。それを見ている田村佐恵子の眼。3人それぞれの眼とレーザーガンの銃爪(ひきがね)にかかる指が四角でマーキングされ、さらに視界の片隅に計算プログラムが表示されました。田村佐恵子はニタッと笑いました。

「ふふ、3人同時でも大丈夫!」

 複数の巨大な光弾が田村佐恵子の身体に向かってきます。けど、田村佐恵子はジグザグに飛び、その光弾を次々と避けます。それを見て隊長が焦ります。

「あ、当たらない?・・・」

 田村佐恵子は日本刀のような武器を大きく振り上げました。狙うは隊長です。隊長はそれに気づきました。

「ちっ!」

「てやーっ!」

 田村佐恵子は日本刀のような武器をありったけの力で振り下ろしました。隊長は斬られる寸前、横にダイブ。が、隊長は左眼の下を斬られたようです。今1筋の血が流れ出てきました。寒川隊員はそれに気づき、叫びました。

「隊長!」

 隊長は横目で寒川隊員を見て、

「かすっただけだ! 気をつけろ! あいつ、また来るぞ!」

 空中の田村佐恵子は大きく円を描き、再び3人を狙う軌道に入りました。今度は倉見隊員を狙うようです。

「くそーっ!」

 倉見隊員は大型のレーザーガンを連射。けど、田村佐恵子はジグザグに飛び、その光弾をすべて避けます。隊長と寒川隊員も側面から田村佐恵子を大型のレーザーガンで狙いますが、すべて避けられました。焦る隊長。

「くそーっ! どうして当たらないんだ!」

「うわっ!」

 倉見隊員は横にダイブして、田村佐恵子の攻撃を避けました。

 田村佐恵子を眼で追ってる隊長のところに橋本隊員が駆けつけました。

「隊長!」

 隊長はその呼びかけに振り向き、

「お、橋本! お前、大丈夫か?」

「へへ、正直痛いっすよ・・・

 それよりも隊長、あいつ、オレたちの眼と銃爪ひきがねを見て、光弾が飛んでくる方向を計算してるんじゃないですか?」

「ええ?・・・」

 隊長は思いました。

「そんなプログラム、えびちゃんにはなかったぞ」

 と、ここでバイクの音が。やじ馬の脇から女神隊員と海老名隊員が乗ったバイクが現れました。隊長がそれを見て、

「ふふ、噂をすればなんとやら、か」

 田村佐恵子もこのバイクに気づきました。

「ん?」

 海老名隊員はバイクから降りると、すぐに飛行中の田村佐恵子を眼で捉えました。

「あいつが田村佐恵子・・・」

 田村佐恵子は海老名隊員を見て、

「なんだ? あいつ、子どもじゃないか?」

 田村佐恵子は海老名隊員が着ているテレストリアルガードの隊員服に注目しました。

「ふふ、あいつ、子どものクセしてテレストリアルガードの隊員なの?

 テレストリアルガードは私の敵! 子どもだからって絶対容赦しないよ!」

 田村佐恵子は次のターゲットを海老名隊員に見定め、彼女に向かって飛行を始めました。橋本隊員はそれを見て、

「あ、あいつ、えびちゃんを狙う気か?」

 と心配顔に。けど、隊長はあまり焦ってないようです。笑ってるようにも見えます。

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