赤ン坊殺しの英雄 22

 レーザーガンを構える海老名隊員。その銃口の先には、自分に向かって飛んでくる田村佐恵子がいます。

 田村佐恵子から見た海老名隊員。海老名隊員の眼とレーザーガンの銃爪ひきがねにかかる指が四角くマーキングされました。と同時に視界の片隅に計算プログラムが現れました。

「ふふ、ちょろい、ちょろい!」

 海老名隊員から見た田村佐恵子。田村佐恵子の身体1つ分左側に半透明な田村佐恵子が現れました。海老名隊員は力強く心の中で叫びました。

「この地球上にメガヒューマノイドは、私1人で十分!」

 海老名隊員は銃爪ひきがねを引きました。それを見ている田村佐恵子の眼。

「ふふ、残念、当たるか、そんなもの!」

 田村佐恵子は少し右(海老名隊員から見て左)に避けました。すると・・・ その左肩に光弾が的中。激しく火花が散ります。田村佐恵子の顔は驚きに変わりました。

「ええ?」

 喜ぶ橋本隊員、倉見隊員、寒川隊員。

「やったーっ!」

 隊長はニヤッとします。

「ふ、さすがえびちゃん! オレが期待した以上だ!」

 田村佐恵子の身体はバランスを崩し、地面に激突。そのままヘッドスライディングするように地面を滑ました。

 田村佐恵子は半身起ました。

「んな、バカな! なんで、なんで当たった?・・・」

 その顔面は地面との摩擦のせいか、血だらけになってます。そこに光弾が飛んできて、田村佐恵子のうなじに命中。

「うぎゃーっ!」

 田村佐恵子の身体は地面に転がりました。その光弾は海老名隊員が放ったものでした。

 レーザーガンを構えたまま、海老名隊員が田村佐恵子に小走りに向かって行きます。田村佐恵子はそれを見て、

「あんな小娘にやられたなんて・・・ くそーっ!」

 田村佐恵子の背中のエアジェットが点火。そのまま地面スレスレに低空飛行。海老名隊員とは真逆の方向に飛び去ります。さすがにこれだけ高度が低いと海老名隊員も隊長もレーザーガンで狙うことはできません。隊長は一度はレーザーガンを構えますが、低空飛行を見て悔しがります。

「ちっ・・・」

 けど、これを傍らから見ていた女神隊員は、何かいい考えが思いついたようです。

 女神隊員はさっとバイクに飛び乗りました。急発進するバイク。

 田村佐恵子の眼から見た光景。左側から猛スピードで女神隊員が駆るバイクが突っ込んで来ます。このままだと2人は衝突します。田村佐恵子は焦ります。

「くっ、なに? カミカゼ攻撃?」

 田村佐恵子の身体はカクッと曲がって上空へ。女神隊員はバイクを急停車させ、田村佐恵子の身体を見上げました。

「ふふ、逃がさないよ!」

 と言うと、女神隊員は突然巨大化。それを見てやじ馬たちが騒めきます。

「おおーっ、ヘルメットレディだ!」

 田村佐恵子の真後ろに巨人になった女神隊員が現れました。田村佐恵子は横目で女神隊員を見て、

「ヘ、ヘルメットレディ?」

 巨人になった女神隊員の身長は50m弱。田村佐恵子は思いっきり高度を上げたとはいえ、女神隊員の胸ほどの高さしか飛んでません。女神隊員は右掌でその田村佐恵子の身体をはたきました。

「うぎゃっ!」

 田村佐恵子の身体は猛スピードで落下。そのまま突き刺さるように地面に激突しました。

「うう・・・」

 田村佐恵子はなんとか立ち上がろうとします。が、ガハァッと吐血。そのまま仰向けに倒れ込んでしまいました。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る