赤ン坊殺しの英雄 7

 倉見隊員は走りながら、

「犯人は空飛ぶ女だったなんて・・・」

 倉見隊員は横を走る橋本隊員を見て、

「橋本さん、あいつ、いったいなんなんでしょう?」

 女がそれを聞いて、横目で後ろを見ました。

「橋本だと? ふふ、案外早く来たな!」

 女の身体は真上に舞い上がりました。それを見て倉見隊員が通常のレーザーガンを構えました。

「ちっ、逃がすかよ!」

 けど、橋本隊員がその銃身を掴みました。

「バカ、やめろ! タマが逸れて民家に当たったら大事(おおごと)だぞ!」

 女の身体が大きな2階建て木造住宅のむねを越えました。橋本隊員は悔しそう。

「ちっ!」

 橋本隊員は倉見隊員と寒川隊員を見て、

「よし、3人で別れて捜そう!」

「はい!」

 3人は別々の方向に散りました。それを高い位置から見ている影が。女です。女はむねを越えたところでその屋根に着地。そのまま身を潜め、3人の行動を観察してました。特に橋本隊員に興味があるようです。

「ふふふ」


 住宅街の夜道をキョロキョロしながら走る橋本隊員。

「くそーっ、どこに行きやがった?・・・」

 その真上やや後方を女が飛んでます。女の背中から吹きだしてるジェットはエアジェット。音はほとんどしません。これでは気づきようがないです。

 女がニヤッとして、日本刀のような武器を斜めに振り上げました。

「死ねーっ!」

 女が急降下開始。橋本隊員を襲う気です。しかし、橋本隊員は気づいてました。橋本隊員はニヤッとし、

「ふ、引っかかったな!」

 橋本隊員は振り向きざま、通常のレーザーガンを撃ちました。レーザーガンは小型でもマックスで撃てば25mm徹甲弾と同じ威力があります。その光弾が女の唯一露出した顔面を狙います。

「くっ! 間に合わない・・・」

 女は両手で顔を覆いました。ボクサーの防御のようなポーズです。その腕に光弾が命中。光弾は弾かれます。けど、それで女はバランスを崩しました。

「うわっ!」

 女は尻からアスファルトに激突。

「そこだ!」

 橋本隊員はその女に向かってレーザーガンを構えました。はっとする女。橋本隊員はレーザーガンを連射。女は横に走りながらその光弾を避けます。悔しがる橋本隊員。

「くそーっ! なんて速さだ!」

 なお、はずれた光弾はアスファルトやブロック塀や電信柱などに命中。火花が散ってます。

「今度はこっちから行くよ!」

 女は直角に曲がり、背中のエアジェットを点火。日本刀のような武器を振り上げ、橋本隊員に突っ込んで行きます。

「うおーっ!」

「ちっ!」

 橋本隊員は再びレーザーガンを構えます。女の眼がその橋本隊員の眼(視線)と、レーザーガンを握る右手を捉えました。するとそれをマーキングする四角が現れ、さらに計算プログラムが視界の片隅に現れました。女は不気味に笑いました。

「むははは!」

 橋本隊員はレーザーガンを連射。女はジグザグに飛び、その光弾を寸分の狂いもなく避けます。女は今度はあざけ笑いました。

「ぐははは! 見える! あんたの動きは全部見える!」

 焦る橋本隊員。

「バ、バカな。こいつ、全部避けたぞ?」

 女は日本刀のような武器を大上段に振り上げました。

「死ねーっ!」

 橋本隊員はぎりぎりまで女の武器を見極める気です。振り下ろされる武器。その瞬間橋本隊員は真横にダイブ、女の武器を避けます。橋本隊員は柔道の受け身のように転がり、女をにらみました。

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