魔法少女にはまだ早い 24

 と、ここで大神さんはあることに気づきました。

「ええ、もう5分経ってんだろ? なんで爆発してないんだ、こいつ?・・・」

「私の胸の爆弾は爆発しませんよ。香川さんの友達に解除してもらったんです!」

「なんだって? ちっ!・・・」

 大神さんは深く考えました。

「爆弾は爆発してないが、エアジェットユニットは正常に動いてる・・・ 爆弾は解除コードで解除したのか? てことは、遠隔操作で爆発する爆弾はそのまま?・・・ なら、スマホのスイッチを押せば、こいつは木端微塵になるはず!」

 けど、大神さんは今バイクで砂利道を高速で走ってる最中。スマホは操作できない状態でした。

「ちっ、スマホにタッチしないと・・・」

 大神さんは右手をすっと伸ばし、少女の顔に拳銃を向けました。少女の肉体の唯一露出した部分を狙う気のようです。

「お前なんかいらねーよ! 死んじまえ!」

 大神さんが銃爪(ひきがね)を引きました。少女ははっとして顔をそむけました。その左側頭部に銃弾が命中。でも、その部分はアーマーに守られてます。拳銃の銃弾が効くはずがありません。弾丸は弾かれました。

 けど、これらすべてが大神さんの計算内の出来事でした。大神さんはこれで少女はひるんで離脱すると思ったのです。その隙にスマホにタッチする気でした。しかし、現実はそれとは逆でした。少女はカチンと来たのです。

「もーっ! このーっ!」

 少女はバイクに乗ってる大神さんに飛びつきました。悲鳴のような声をあげる大神さん。

「うわーっ、何をするーっ!?」

 2人の身体は激しく絡み合って、バイクごと転倒。その瞬間、グォキッ! と、不自然な音が。上になってる少女が顔を上げました。下になってる大神さんの眼は見開いてますが、失神寸前のようです。その後頭部には大きな岩があり、大神さんの血らしき液体がドバッと噴き出してます。

「よ、よくもやったな・・・」

 大神さんはジャケットの右のサイドポケットからスマホを取り出しました。

「お前も道連れだ・・・」

 大神さんはスマホにタッチしました。と同時に、大神さんの首はガクンとなりました。どうやら死んでしまったようです。愕然とする少女。

「ああ・・・」

 キーッ! 少女の背後に1台のクルマが急停車。そこから香川さんが降りてきました。

「おーい!」

 少女は香川さんに振り返り、

「お、大神さん、死んじゃった・・・」

 香川さんは少女の側に来て、大神さんの死体を見ました。そしてその右手に握られてるスマホを凝視しました。今スマホには4:35の数字が表示されていて、さらに数字が減っててる最中です。

「お、おい、まさか、こいつ、スマホに触ったのか?」

「はい・・・」

「な、なんてことを・・・」

 香川さんは少女の顔を厳しい眼で見て、

「いいか。この数字が0になったら、君の胸は爆発するんだ!」

「え?・・・

 わ、私、どうすれば?・・・」

「爆弾を外そう!」

「ええ、今から?」

「もうそれしかないだろう!」

「で、でも、時間が・・・」

 香川さんは少女の両肩を掴み、

「君はオレの大事な娘だ。絶対に、絶対に死なせない! オレを信じろ!」

 少女は香川さんの真剣な眼を凝視して、うなずきました。

「うん!」

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