魔法少女にはまだ早い 19
香川さんは言われた通り、少女の胸の上数センチのところにセンサー棒をセットしました。
「これでいいか?」
「OK!」
出縄さんは少女の顔を見て、
「さっきの英数字をもう1度言ってごらん」
「はい。
A390261Z」
出縄さんはその声に合わせ、ノートパソコンのキーボードを叩きました。するとピーという音が。
「おお、ビンゴだ!」
出縄さんは少女の顔を見て、
「君の胸の爆弾はこれで爆発しなくなったぞ!」
少女はほっとしました。
「ああ、よかった・・・」
「しかし、その大神て男、そうとうマヌケなやつだなあ・・・」
真実を知ってる香川さんは心の中で大爆笑。それが表に出ないように、必死に笑いをこらえました。
出縄さんは振り返り、
「さて、帰るとするか」
少女はちょっと残念そうです。
「え、もう?・・・」
「ふ、元来オレはここにいちゃいけない人間なんだ」
出縄さんは自分が持ってきたノートパソコンとセンサー棒を見て、
「また何かあるといけないから、一応これは置いとくか」
病院の屋上です。ペントハウスのドアから香川さんと出縄さんが出てきました。香川さん。
「あとは入野の仕事だな」
出縄さんが応えます。
「あいつは警察や検察にも
出縄さんはどこからリモコンを取り出し、それを上空に向けスイッチを入れました。すると上空から淡い光が降り注いできました。
「じゃな」
と言うと出縄さんは一歩前に出て、淡い光に入りました。すとる出縄さんの身体が浮上し始めました。出縄さんはそのままゆっくりと上昇していき、あるところで突然消滅。と同時に淡い光も消滅しました。それを見て香川さんは思いました。
「どうなってんだよ、こりゃ?・・・」
少女の病室。ドアが開き香川さんが、
「いや~!」
と言って入ってきました。少女はベッドに腰かけてました。その顔は沈んでます。当たり前です。自分を五体満足に回復させてくれた人が、自分の体内に爆弾を仕掛けたんです。落ち込んで当然。少女の代わりに香川さんが発言しました。
「あいつ、とんでもない喰わせ者だったな。今度はこっちが騙してみてみるか」
「え?」
「明日飛行実験があるな。君の夢が正夢だったら、君はその飛行実験中に爆死する。けど、その胸の爆弾は解除済みだ。あいつの前で全速力で飛んだら、あいつはきっと眼を丸くするぞ」
「ふ、香川さんて意外と意地悪るなんですね。けど、ほんとうに私の胸の爆弾は作動しないんですか?」
「テレストリアルガード技術開発部門トップの1人が解除したんだ。絶対作動しないだろ。ま、最終的にはまた手術して爆弾そのものを除去しないといけないと思うが」
「早く爆弾を取り除いて欲しい・・・ 怖いよ・・・
明後日パトロール魔女ジェニーの最終回があるんです。あれを見るまで死にたくない・・・」
少女のこの発言は第3者が見たら爆笑するか苦笑するような発言です。けど、香川さんは少女の思いを十分理解してます。香川さんもパトロール魔女ジェニーの最終回を見たいのです。
朝です。太陽が昇ってきました。ここは少女の病室。今少女がガバッと起きました。顔面蒼白です。
「やっぱり・・・ やっぱり私の胸は爆発する!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます