魔法少女にはまだ早い 16
入野さんの発言が続いてます。
「作戦部門と技術開発部門の隊員は、たとえ同じテレストリアルガードの隊員であってもみだりに会ってはいけないっていうルールがあるが、そこまで厳密なのか?」
出縄さん。
「オレたちが扱ってるものはすべて国家機密だ。これくらいは許容しないといけないんだよ」
出縄さんは掌にすっぽりと入る小さな機械を2人に見せました。
「念のために、こんなものを持ってきたよ」
入野さんはそれを見て不思議に思いました。
「なんだよ、それ?」
「電波をキャッチする機械。平たく言えば、盗聴器発見器だ」
出縄さんはその機械を横目で見て、
「どうやら盗聴器はないようだな、ここは」
入野さんはちょっと呆れてます。
「そこまで気を使わないといけないのかよ?・・・ 大変だな、作戦部門と技術開発部門は」
ここで障子戸の向こうから、
「失礼します」
の声が。ワンテンポ置いて障子戸が開き、先ほどの女性店員が顔を見せました。
「ウーロンハイです」
「ありがと」
香川さんがウーロンハイのジョッキを受け取りました。閉まる障子戸。ワンテンポおいて香川さんがその障子戸をそーっと少しだけ開けました。廊下では今ウーロンハイを持ってきた店員が去って行くところ。それ以外の人影はありません。反対側に視線を向けましたが、こちらにも怪しい人影はありません。
香川さんは障子戸をそーっと閉め、
「どうやら監視されてないようだな」
入野さんは香川さんを呆れ顔で見て、
「おいおい、もういいだろ。そろそろ本題に入ったらどうだ?」
「じゃ・・・
みんな、メガヒューマノイドて知ってるか?」
出縄さん。
「ああ、もちろん知ってるよ。オレを誰だと思ってんだ? テレストリアルガード技術開発部門の主幹の1人だぞ。
ふふ、と言っても、実は何がなんだかさっぱり・・・ セクションが違うとどんなものを開発してるのか、てんでわからないんだ・・・」
入野さん。
「私は聞いたことがあるよ。人間の身体そのものを兵器に変えてしまう技術だろ」
香川さん。
「実はメガヒューマノイド1号は、ほぼ完成してるんだ」
それを聞いて出縄さんと入野さんは感嘆な声をあげました。
「ほ~」
「けど、嫌な噂を聞いたんだ。なんでもメガヒューマノイド被験者1号の胸に爆弾が仕掛けられてるらしいんだ・・・」
それを聞いて出縄さんと入野さんの眼の色が変化しました。香川さんの発言が続きます。
「今度飛行実験がある。最初の飛行実験だ」
出縄さん。
「飛行実験?」
「ああ、メガヒューマノイドはス○○ーマンのように高速で空を飛ぶことができるんだ。けど、最高速で飛んでる最中にその爆弾が爆発する仕組みになってるらしいんだ・・・」
出縄さん。
「その噂、どこで聞いた」
「いや、ごめん。それは言えないんだ」
入野さん。
「そういや、あんた、大神恭介て男の身体検査をしてくれと言ってたな。もしかしてその男が犯人なのか?」
「まあな、たぶんそうだと思う」
出縄さんが香川さんの顔を見て、
「大神て?」
「メガヒューマノイド開発部門の最高責任者だよ」
「へ~・・・ セクション違いとはいえ、初めて聞く名前だな」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます