魔法少女にはまだ早い 17
今度は入野さんが香川さんを見て、
「ふふ、あんたの見立ては正解かもしれないぞ。実は大神恭介を身体検査したら、おもしろいことがわかったんだ。
大神恭介の父親の休眠状態になっていたA国の銀行の通帳に、なんと30億もの入金があったんだ」
驚く香川さんと出縄さん。
「ええ、30億?・・・」
「その金はすぐに他の銀行に移されたようだが、実はどの銀行に行ったのか、てんでわからないんだ。おまけに、その通帳は解約された、その直後にな。さらに調べたら、大神恭介の父親は半年前に亡くなってたんだ」
香川さんの質問。
「その金はどこから来たんだ?」
「ペーパーカンパニーの通帳だ。その会社の代表取締役を調べたら、B国のホームレスだったよ」
香川さんはつぶやきました。
「あいつ、どこかの国に買収されてたのか?・・・」
出縄さん。
「つまり、こうか? その男は唯一の完成品を破壊して、これまでのデータを持って、どこかの国にトンズラする・・・」
入野さん。
「う~ん・・・ メガヒューマノイドの技術が流出するのは国としては一大事だが、ヴィーヴルから供与された軍事技術の原本が生きてんだから、テレストリアルガードとしては被害は最小限で済むんじゃないのか?」
出縄さん。
「いや、我々はヴィーヴルから与えられた技術をそのまんま使ってるわけじゃないんだ。それぞれのセクションの技術者のアレンジが入ってるんだ。
メガヒューマノイドは生体工学か・・・ 宇宙人と地球人じゃかなり身体の構造が違うはず。おそらくその大神て男が造ったメガヒューマノイドは、ヴィーヴルのメガヒューマノイドとはかなり違ったものになってるんじゃないかな?・・・」
香川さん。
「つまり、今存在してるヒューマノイドは、オンリーワンてことか」
入野さん。
「う~ん・・・ その大神て男をもっと調べてみるか・・・」
出縄さん。
「オレも何か役に立つことがあるか?」
香川さん。
「メガヒューマノイドに取り付けらた爆弾を解除することができるか?」
「それか・・・ なんとかやってみるか」
3人は解散しました。
翌日少女の病室です。少女はベッドで眠ってます。今は静かに眠ってます。その側にはパイプイスに座ってる香川さんがいます。香川さんの眼は鋭く輝いてます。窓はカーテンで覆われてますが、カーテンの向こう側は薄っすらと明るくなってます。どうやら夜明けの時刻のようです。
香川さんはふとスマホを見ました。時間を見たようです。
「そろそろか・・・」
香川さんは立ちました。
病院の屋上です。ペントハウスのドアが開き、香川さんが姿を現しました。外はさらに明るくなってます。
香川さんははっとしました。1人の男が上空からゆっくりと舞い降りてきてる最中だったのです。その男は出縄さんでした。出縄さんは真上から降り注ぐ淡い光に包まれてました。まるでお迎えの光のようです。香川さんはその光の出所を見ましたが、光源はありません。何もないところから光が降り注いでいるのです。
なお、出縄さんの手にはアタッシュケースのようなカバンが握られてました。
出縄さんは屋上に着地しました。香川さんは驚くばかり。
「ど、どうなってんだ、これは?」
「ふふ、これもヴィーヴルから供与された軍事技術の1つだよ。おっと、今見たことは絶対他言無用だぞ。ま、あと10日もすればそっちにもお披露目すると思うが」
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