魔法少女にはまだ早い 8

 香川さんの話が続いてます。

「実は私は今テレストリアルガードの隊員として、1つの命令を実行中なんだ。メガヒューマノイド計画の被験者の獲得だ。

 けど、断られたり、身体がメガヒューマノイドに適合してなかったり、スカウトしてるうちに亡くなったりと、なかなか被験者が見つからなかった。残った候補者は君とそのすみれという女の子だけだったんだ。

 すみれて女の子は君と同じ、ユミル星人の水素核融合弾の爆風を浴びて、全身に大けがを負ってしまったんだ。

 ただ、向こうの方がひどいケガだ。脳みそまで欠けてしまったんだ」

「え?」

「君はヘルメットをしてたせいで脳みそは守られていたが、すみれって子は頭蓋骨も吹き飛ばされ、発見されたとき脳みそが露出してたんだ。そのせいか、今も目覚めてないんだ・・・」

「もしその子が目覚めたら、その子もメガヒューマノイドになるんですか?」

「それはその子の考えしだいだな」

 少女は「死んじまえばいいのに!」と一瞬考えましたが、その思いはすぐに払拭しました。少女はしゃべったことばかりか、思ったこともすべてコンピューターに文字になって出てきてしまうからです。

 けど、遅かったようです。その考えが文字になり、香川さんがその文字を読んでしまったのです。香川さんはこう思いました。

「ふ、その年で嫉妬か?」

 香川さんは今度は発言しました。

「どうする? メガヒューマノイドになるのはやめるか?」

「え、なんで? 私は空を飛びたいんですよ」

「あは、そっか」

 香川さんは安心です。香川さんはワンテンポ置いて、

「あ~ 1つお願いがあるんだが・・・ その不思議な能力、みんなには秘密にしておいてくれないか?」

「え、なんで?」

「じゃ逆に訊くが、今までこの能力、みんなにバラしてたのか?」

「・・・いいえ」

「なんでみんなに教えなかったんだ?」

「昔は教えたこともあったんですよ。でも、みんな、気持ち悪いって・・・ お父さんもお母さんも黙ってろと言ってたし・・・」

「じゃ、これからも黙っていた方がいいな」

「はい」

 ちなみに、香川さんは自分の娘が少女と同じ年だと言ってましたが、話の流れでなんとなくウソを言ってしまったようです。少女にウソは一切通じないようです。今後は気を付けないといけません。


 翌日からメガヒューマノイド改造手術が始まりました。1回の手術にかかる時間は数時間、場合によっては半日以上もかかりました。それが7日から10日間隔で行われました。少女はかなり苦しそう。もうくじけそうです。けど、空を飛ぶ。その思いだけでなんとか苦しい手術を乗り越えてきました。

 そして身体中を覆う布が外され、声が回復し、右耳に義耳が入り、いよいよ義眼が入る日が来ました。

 視力を回復させた少女が最初に見たものは、アニメパトロール少女ジェニー。少女が被爆してから見てなかった分を一気に見てしまいました。看護師さんが「眼が疲れるから、そのへんで」と注意しましたが、そんな忠告は少女には無意味でした。6時間分12話を一気に視聴してしまったのです。


 少女が見ていたパトロール魔女ジェニーはこんな話になってました。

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