魔法少女にはまだ早い 6
少女は応えました。
「香川さんもジェニーを知ってるんですか?」
「ああ、私の娘も見ていたからな」
「へ~ 香川さんにも娘さんがいたんだ。今いくつなんですか?」
「君と同じ年だった」
同じ年だった・・・ 過去形? 少女はその部分が引っかかったようです。
「なんで、だった、んですか?」
「死んだ。水素核融合弾にやられたんだ」
それを聞いて少女は絶句してしまいました。香川さんは言葉を続けました。
「まどか、て名前だった。有名な魔法少女からいただいた名前だよ」
けど、少女はそんな名前の魔法少女は知りませんでした。
「まどか? それはなんというアニメに出てきたの?」
「あは、そっか、君にはわからないか。ちょっと前に放送されていたアニメだよ。真夜中に放送されていたから、君にはわからないか」
「真夜中に放送されていたアニメ?」
「そう。真夜中にはたくさんのアニメが放送されているんだ。子どもが見られない時間に放送されてるから、いろいろと規制が緩くってね。大人がよく見てるんだよ。このアニメだって、先輩魔法少女が首チョンパになっていた」
少女はそのアニメが急激に見たくなり、その思いをストレートに言葉にしました。
「私もまどかを見たい!」
「あはは、それじゃ、ちゃんとテレビが見られるように義眼を入れないといけないな」
すると少女はなんら躊躇することなくストレートに応えました。
「うん、入れてください!」
香川さんはその返答に半信半疑。
「え?」
少女はもう1回応えました。
「私に義眼を入れてください!」
「いいのか?」
「ええ。ジェニーもまどかも見てみたい!」
香川さんは思わず苦笑してしまいました。アニメが見たいがために義眼を入れてくれなんて・・・
少女は言葉を続けました。
「義眼だけというのはムリなんですよね。なら、両手も両脚も付けちゃってください」
「ほんとうにいいのか?」
「はい!」
少女は力強く応えました。と言っても、声ではなく、コンピューターのモニターに出てきた文字なのですが。
香川さんの発言は続きます。
「改造手術が成功したら、君は自動的にテレストリアルガードの隊員になるんだぞ」
「父も母も亡くなってしまったんですよね。なら、別にいいです。
両手両脚がない状態で生きてくくらいなら、思い切って人間兵器になって、そのなんとかガードてところに入ってみた方がいいような気がするのです」
香川さんは微笑みながら応えました。
「わかった。わかったよ」
実は香川さんはメガヒューマノイドの被験者になってくれる人を探してました。今まで何人もの被験者になってくれそうな人に会ってきましたが、すべて断られてました。当然この子も断ると思ってたので、この展開は意外に感じました。しかしです。香川さんは大事な被験者をようやく手に入れたようです。
この日少女のメガヒューマノイド改造手術のプロジェクトが本格的にスタートしました。
夜の大都会、月明かりがまぶしい夜です。少女は空を飛んでました。少女は魔女ジェニーと同じ箒に跨ってました。コスチュームもジェニーと同じ。いかにも魔女て感じの紺色のワンピース。同じ色のウイッチズハット。
少女の顔は晴れ晴れ、生き生きとしています。五体とも揃ってます。少女は大都会を見下ろしました。
「すごーい!」
少女はきりもみ飛行を見せました。歓喜です。
「きゃははははっ!」
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