私が愛した男《ひと》 18

 地下整備場の作業員はヴィーヴルから供与されたオーバーテクノロジーに精通した人ばかり。それはよからぬ国から見たら、喉から手が出るほど欲しい頭脳です。それを考慮して日本政府は、地下整備場に誰が就任してるのか、完全トップシークレットになってました。テレストリアルガード作戦部門の香川隊員さえ知らないのです。女神隊員と海老名隊員は、今日初めてそのトップに会いました。

 女神隊員はいつかはあいさつしたいと思ってた相手ですが、イメージがかなり悪くなってしまいました。一期一会は大切です。

 隊長が海老名隊員を見ました。

「しかし、なんで予知夢のこと、オレに話してくれなかったんだ?」

「こーゆーことは必要最少限の人にしか漏らしちゃいけないと思って・・・

 でも、私の予知夢では、あいつは巨大化してないんですよ!」

「オレだったら、玄関で弁当屋に紛れて侵入するってところでふん捕まえていたな。あそこなら巨大化されても、オペレーションルームまでは壊されなかったろ」

 海老名隊員は小さくなりました。

「すみません・・・」

「しかしまぁ、巨大化するなんてオレでも想像できないよなぁ・・・ えびちゃんを責めるわけにもいかないか・・・」

 隊長は女神隊員を見て、

「けどなぁ、あんたが来てからというもの、侵略してくる宇宙人はみんな巨大化するようになったな」

 今度は女神隊員が小さくなりました。

「あは、すみません」

「別にあんたが謝ってもなぁ・・・」

 隊長は1つため息をつきました。

「ともかく今一番怖いのは、エイリアンがまた認識ステルス機能を作動させて襲ってくることだな。基地の四次元レーダーは無傷だったが、それを見るレーダースコープは壊れてしまったな・・・

 ストーク2号を地上に出して、四次元レーダーで見張らせよっか」

 海老名隊員の質問。

「誰が操作するんですか?」

「うむ、今回は地下整備場の人を借りるか。こんな時だ、あのおばあちゃんでも人員を貸してくれるだろ」

 隊長は振り返り、

「じゃ、オレは病院に戻るとするか」


 数分後、ここはテレストリアルガード基地の門。今ゲートが開き、パパラッチをかき分け、タクシーが入ってきました。それを3階建てビルの玄関のところで見ている3人組がいます。隊長と女神隊員と海老名隊員です。女神隊員。

「タクシー、来ましたね」

 タクシーが3人の横で停車。後部座席のドアが自動的に開きました。隊長は女神隊員と海老名隊員を見て、

「じゃ、行ってくるぞ」

 隊長はタクシーの中に乗り込もうとしますが、その直前振り返り、再び女神隊員と海老名隊員を見ました。

「あ、そういやさっき、本部からメールが来たな。格納庫を2つ壊した件で事情聴取しに来るそうだ。粗相のないようにしろよ」

 女神隊員は苦笑して、

「はい、わかりました」

 バタン。ドアが閉まり、タクシーが動き出しました。タクシーはそのままパパラッチが群がるゲートへ。ゲートが開き、パパラッチを蹴散らすようにタクシーは街道へ出ました。

 そのパパラッチの中にちょっと異質な女がいます。身長は140cmくらいと小柄。サングラスをかけてます。女は右掌を口に持ってきました。掌の中には小さな無線機があります。

「ボス、動きました!」

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