私が愛した男《ひと》 15

 サブオペレーションルームの引き分けの自動ドアが開き、お弁当屋さんが入ってきました。

「ちわーす、猫猫弁当でーす!」

 オペレーションルームのコンソールの前に座ってた女神隊員が振り返りました。頭にはいつものフルフェイスのヘルメットがあります。

「あ~ いつもいつもご苦労さん」

 女神隊員はお弁当屋さんが持っていた書類にハンコを押しました。

「今日は減塩弁当はなくっていいんですね」

「今日は必要ないんですよ。いつも減塩弁当を食べてる隊長がいないから」

「あは、そうですか」

 お弁当屋さんは自動ドアを開け、出て行きました。

「それじゃ、また~」

 女神隊員は弁当の1つを持つと、それを海老名隊員の手元に置きました。

「じゃ、手はず通りに」

 海老名隊員はうなずきました。


 それから数分後、突然引き分けの自動ドアが開きました。けど、そこには誰もいません。いや、実はそこには透明化したエイリアンが存在してました。エイリアンは個人携帯用認識ステルス装置で身を隠していたのです。

 透明なエイリアンはレーザーガンを構え、サブオペレーションルームに入ってきました。しかし、室内には女神隊員も海老名隊員もいません。1人もいないのです。透明なエイリアンは焦りました。

「い、いない?」

 エイリアンは奥の引き分けの自動ドアを見ました。いつもは開いてるオペレーションとサブオペレーションルームの間の自動ドアは、このときはなぜか閉じていたのです。

「あの扉の向こう?・・・」

「ここよ」

 突然のその声に透明なエイリアンは振り返ろうとしました。が、その瞬間白い粉がもうもうと立ち上がり、エイリアンを襲いました。入口の自動ドアの端に隠れていた人物がエイリアンに向かって消火器を噴射したのです。この人物はテレストリアルガードの隊員服を着て、フルフェイスのヘルメットを被ってます。身体の大きさからしてこの隊員は、海老名隊員のようです。

「うぐっ・・・」

 消火器の粉を浴びてエイリアンの姿が浮かび上がりました。外見上地球人とほぼ同じ姿。ただし、背丈は地球人よりちょっと低いようです。フルフェイスのヘルメットをかぶってますが、フォルムからしてどうやら女のようです。くすんだ銀色のスーツ(戦闘服?)にはくびれがあり、胸は大きく膨れてました。

 女エイリアンは消火剤の煙の中であえいでます。

「く、くそーっ!」

 自動ドアの端の海老名隊員とは反対側に隠れていた女神隊員が、持っていたレーザーガンを発射。その光弾がエイリアンの胸に命中。

「うぎゃあーっ!」

 女エイリアンの身体は吹き飛ばされ、卵型の巨大なテーブルの上を載り、そのままテーブルの上を滑り、最後床に落ちました。女神隊員と海老名隊員はその女エイリアンに駆け寄りました。2人ともレーザーガンと消火器を構えたままです。

 床に転がった女エイリアンはグロッキー状態。海老名隊員はヘルメットのシールドを上げ、ほっと一息。

「ふーっ・・・」

 女神隊員が海老名隊員に質問です。

「こいつ、ほんとに私を撃ったの?」

「顔を撃たれて、脳みそが飛び散ってましたよ」

「うげっ・・・」

 次の瞬間海老名隊員が何かを感じ取りました。

「あ、危ない! 逃げて!」

「え?」

 海老名隊員は一目散に逃げ出し、女神隊員は女エイリアンを横目で見ながらそれに続きました。次の瞬間、女エイリアンの身体が急激に膨張し始めました。

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