私が愛した男《ひと》 14
「うぎゃーっ!」
海老名隊員は突然悲鳴をあげ、ガバッと起き上がりました。その顔は蒼白、はぁはぁと息がとても荒くなってます。ちなみに、ここは海老名隊員の自室、ベッドの中です。どうやら海老名隊員は夢を見ていたようです。
「ゆ、夢?・・・」
次の瞬間、海老名隊員はあることに気づきました。
「そっか、私の生理痛の正体は・・・」
翌朝7時、ここはテレストリアルガードの建物の玄関前、今私服の隊長がタクシーに乗り込んだところです。海老名隊員と女神隊員がそれを側で見送ってます。2人ともテレストリアルガードの隊員服を着てます。女神隊員はいつものようにフルフェイスのヘルメットをかぶってます。隊長が2人に振り返り、
「じゃ、行ってくるぞ」
「はい!」
2人が応えました。隊長は海老名隊員を見て、
「お前、学校休むんだから、今日は部屋でじーっとしてろよ」
海老名隊員は苦笑しました。
「あはは、わかってますよ」
タクシーが走り始めました。そしていつものようにパパラッチが群がるゲートを通って、街道に出て行きました。
さて、海老名隊員は黙って自室で寝てるのかと思いきや、サブオペレーションルームでノートパソコンでインターネットをやってました。案の定の困ったちゃんです。
女神隊員はオペレーションルームのコンソールの前で、昨日と同じようにバイクの教則本を読んでました。
海老名隊員はノートパソコンのディスプレイに集中してると思いきや、突然女神隊員に話しかけました。
「女神さん」
女神隊員はその声を聞いて、ピクンとしました。海老名隊員は言葉を続けました。
「私、とっても嫌な夢を見ちゃいました」
「へ~ どんな夢ですか?」
海老名隊員は笑顔を浮かべました。何かを企ててる笑顔です。
「え~とですねぇ・・・」
お昼近くになりました。ここはテレストリアルガード基地の門。パパラッチが群がってるゲートの前に1台のワンボックス車が現れました。その横腹には猫猫弁当の文字があります。どう見てもお弁当屋さんのクルマなんですが、パパラッチはワンボックス車がゲートをくぐるとき、ご丁寧に車内をストロボ撮影しまくってました。
お弁当屋さんのワンボックス車が3階建てのビルの前に停車し、そこから乗員が降りました。その数4人。ちなみに、運転席から降りた人はいつもサブオペレーションルームにお弁当を届けてる人です。
ワンボックス車のテールゲートが開き、4人はそれぞれ弁当が入った大きな箱をそこから取り出しました。
運転手の人の発言。
「それじゃ、いつものようにお弁当を配ってください!」
ほかの3人が応えました。
「はい!」
この光景を数メートル向こうから見ている眼があります。しかし、姿はありません。
運転手の人がビルの自動ドアの脇の装置にカードを差し、次にその横のテンキーをピッピッピッと押しました。すると引き分けの自動ドアが開き、4人が建物の中に入りました。閉まる自動ドア。が、その直前、1つの見えない人影が建物の中に入ったようです。
箱を持って廊下を走るお弁当屋さんの1人。さきほどの運転手の人です。と、お弁当屋さんは何かを感じたようです。ふと立ち止まり、振り返りました。
「ん?」
しかし、お弁当屋さんの後ろには誰もいません。いや、正確には見えない人がそこにいるのですが、お弁当屋さんには絶対認識できない存在でした。
お弁当屋さんは首をひねり、はてなのボーズ。
「おかしいなあ。誰かついてきたような・・・」
お弁当屋さんは再び前を見て走り始めました。と同時に、彼を尾行してた見えない人影も動き始めました。
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