私が愛した男《ひと》 3

 ニヤッとする敵魔女。

「ふふ、意外とあっさりだったわね」

 けど、幼き魔女が跨る箒は宙に浮いたまま。敵魔女はそれを不審に思います。

「ん、墜落しない? 死んだのなら魔法が切れて墜落するはずなんだけど、まだ生きてるってこと?」

 敵魔女は再びビームライフルを構えます。

「んじゃ、とどめを刺しますか」

 敵魔女の指が銃爪ひきがねにかかりました。が、次の瞬間、敵魔女の身体は青白い炎に包まれました。敵魔女はそのまま墜落。準一です。準一が再び帰ってきたのです。

 準一は幼き女王が跨る箒に向かい、彼女を後ろから抱き包みました。

「もういいよ。君はよくやった」

 幼い女王は消え消えの意識の中でつぶやくように、

「お願い、このまま突っ込ませて。私は今魔法でなんとか命を永らえてるけど、それも持って5分。禁忌の魔法はしかばねになったら使えない」

 準一は少し考え、こう返答しました。

「わかったよ」

 2人が乗った箒は進行開始。空飛ぶ要塞の中央に突っ込んで行きます。


「うう・・・」

 突然サブオペレーションルームに嗚咽が響きました。

「ん?」

 アニメに見入ってた隊長はその嗚咽にびっくり。振り向くと、なんと女神隊員がヘルメットを脱いで両手で顔を押さえてました。どうやら嗚咽してるようです。アニメに見入ってた隊長は、現実に引き戻されてしまいました。


 アニメの続きです。幼き女王の身体が空中要塞に激突。そのまま内部に進入(貫通)していきます。

 幼き女王は準一に話しかけます。

「準一、1つお願いがあるの」

「ん、何?」

「私、輪廻転生の女神様にお願いしたんだ。もし私に来生があるのなら、また準一と巡り合いたい。そのときは準一、私を無視しないでよ」

「ああ、わかってるよ」

 けど、実は準一には来世がありません。準一は一度死んだあと幼き女王のピンチを感じて蘇りました。が、幼き女王の治癒のために蘇りの力を使い切ってしまい、すぐに黄泉の国に飛ばされてしまいました。

 黄泉の国で準一は、輪廻転生の女神に会いました。女神の話だと準一は輪廻転生の対象に選ばたようです。が、準一は今すぐ蘇り、幼き女王を守りたいと懇願。輪廻転生の女神は輪廻転生を諦めるという条件を提示。準一はそれに従いました。つまり準一には来世がないのです。こうして準一は幽霊のまま、またこの世に戻ってきたのです。

 準一はこうこう応えました。

「ああ、来生は一緒になろうな」


 空中要塞のコントロールルーム。奥に艦長席のような玉座があり、そこにグラニ帝国の皇子が座ってます。

 突然床に丸い穴が開き、そこに幼き女王をお姫様抱っこした準一が現れました。慌て逃げるスタッフたち。皇子は取り残されます。

「ま、待て、お前ら!」

 準一は皇子をにらみました。びびる皇子。

「や、やめろ・・・」

 準一は姫の顔を見て、

「さあ、禁忌の魔法を使うんだ!」

 次の瞬間コントロールルームが眩く光りました。


 空中要塞外観。要塞のど真ん中が大爆発しました。核兵器並みの爆発です。これで空中要塞は浮遊していられなくなり、ゆっくりと落下。地面に激突。

 これを見ていた元ノルン王国の軍勢は、敵方に寝返ったことを恥じ、再びノルン王国の軍隊となり、グラニ帝国の敗残兵に襲い掛かります。


 物語の最後、2人は輪廻転生しました。輪廻転生の女神はそこまで冷たくなかったようです。

 これで物語は終了しました。

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