神の国を侵略した龍 22(終了)

 ドアが自動的に閉まり、タクシーが走り出しました。隊長はロフストランドクラッチをつきながら店舗に向かいました。

「まったくどいつもこいつも、塩分を取るな、塩分を取るなって、うるさいんだよ! オレは1週間に1回牛丼を喰わないと、身体中に蕁麻疹が出ちまう体質なんだよ!」

 隊長、そんな体質は聞いたことがないですよ。


 隊長は牛丼屋の店舗に入りました。

「いらっしゃーい!」

 さっそく店員の威勢のいい声が響いてきました。隊長はカウンターのイスに座りながら注文です。

「大盛1つ」

「はい、大盛1つ!」

 すぐに隊長の目の前に大盛の牛丼が運ばれてきました。

「はい、お待ち!」

 隊長はさっそく箸を取りました。

「あは、やっと食えるぞ!」

 さっそく1口目。しかし、その瞬間隊長の顔色は変わりました。

「しょっぱい。なんてしょっばいんだ?・・・ オレは今までこんな塩の塊のようなものを喰ってたのか?・・・」

 隊長は1ケ月程度減塩料理を食べてきたせいか、減塩料理に舌が慣れてしまったようです。

 日本の外食産業は異様なほど料理に食塩を混ぜます。減塩料理に慣れてしまった人からみたら、外食産業の料理のすべては食塩の塊なのです。

 隊長は残念な顔で箸を置きました。そして店員に話しかけました。

「すまないが、勘定してくれないか?」

 店員は不思議な顔で隊長を見ました。


 隊長が店舗から出てきました。隊長はぶつぶつつぶやきながらロフストランドクラッチをついて歩きます。

「なんてひどい味だ。もう2度と牛丼なんか喰うものか!」

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