前方の敵後方の敵 7
寒川隊員。
「となると、残るはアメリカの飛行機か別の侵略宇宙人か・・・」
隊長。
「いや、日本にもまだ認識ステルス機能がついた飛行機があるぞ。スペースステーションJ1の飛行機だ」
隊長のその言葉で、一同に緊張感が走りました。みんな、今回の事件の犯人はなんとなくJ1じゃないのかと思ってたのですが、隊長があらためてJ1の名前を口にしたので、妙な緊張感が走ったのです。
スペースステーションJ1はテレストリアルガード宇宙支部のようなところです。つまり、仲間。それが攻撃してきたなんて、とても信じられないのです。でも、他に該当者がいないのも事実でした。
橋本隊員が話を続けます。
「それなら宇宙からやってきたという理由もつくな。しかし、J1が女神隊員を攻撃する理由はないと思うが?・・・」
寒川隊員。
「もしや女神さんを侵略宇宙人と間違えて・・・ あのとき女神さんは巨大化してたし・・・」
倉見隊員。
「巨大化してたとはいえ、あいつはテレストリアルガードの隊員服を着てたし、オレたちにも攻撃してきた。それは絶対ありえないだろって」
隊長は上溝隊員に、
「J1に女神隊員のデータは送ってあるのか?」
「はい。顔写真以外は送ってます」
「ふふ、顔写真はちょっとまずいよな・・・」
と、ここでオペレーションルームのコンソールが鳴りました。無線が入ったようです。上溝隊員は慌ててその無線に出ました。
「はい・・・」
上溝隊員は隊長を見ました。
「隊長、J1から連絡です。もうすぐ来るようです」
「ふっ、噂をすればなんとやら、か・・・」
テレストリアルガード基地外観です。今1機の飛行機が滑走路に垂直着陸するところです。ストーク号によく似た機体ですが、カラーリングがまったく別です。この機種はスペースストーク号です。機体にはUNTG-STORK01の文字があります。
テレストリアルガード基地内の廊下です。3人の男が歩いてきます。すべて同じ隊員服を着ています。これもテレストリアルガードの隊員服に似てますが、カラーリングはまったく別です。
実はこの3人はスペースステーションJ1の隊員です。真ん中を1つ抜け出して歩いてる中年の男は入谷隊長。後ろの若い2人は宮山隊員と番田隊員です。
3人は引き分けの自動ドアの前に立ち止まりました。すると自動ドアは自動的に開きました。そこはサブオペレーションルーム。女神隊員と海老名隊員以外のテレストリアルガード5人の隊員が待ち受けてました。5人ともかなり厳しい眼です。J1の3人もかなり怖い顔をして室内に入りました。まずは入谷隊長の発言から。
「お邪魔するよ」
宮山隊員は毒を吐くように言いました。
「おいおい、せっかく事前に来ると言っておいたのに、お茶も用意してないのか?」
それに橋本隊員が応えました。
「悪いなあ、こっちもろいろと忙しいんだ」
今度は香川隊長の質問。
「ふっ、なんの用だ?」
それに入谷隊長が応えました。
「用件は2つある。1つは今日午前中、地球に侵入した未確認飛行物体だ。どこに行った?」
「さあな、今行方不明だ」
「こいつはひどい職務怠慢だなぁ。宇宙からの侵略者を見張ってるはずのテレストリアルガードが、その侵略者をロストするなんて」
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