前方の敵後方の敵 6

 テレストリアルガード基地内、ここは地下にある医務室です。テレストリアルガードの隊員服はつなぎになってるのですが、今女神隊員が上半身だけ隊員服を脱いで背もたれのない丸いイスに座ってます。その背中を女性医師が見てます。ビーム砲を喰らった背骨とうなじに、今湿布のような貼り薬が貼られました。なお、女神隊員の特徴的な単眼ですが、今はウィッグなどはつけておらず、丸見えです。自動翻訳機のヘッドセットは装着してありました。

 女医の発言です。

「ふ、さすがテレストリアルガードの正式ユニホームね。脊髄も延髄も損傷軽微。もしふつーのつなぎだったら、たぶん即死してたわよ」

 それを傍らで見ていた上溝隊員が、女神隊員に話しかけました。

「よかった。軽いケガで」

 女医は歩いて去って行きました。

「それじゃ」

 上溝隊員はそれをあいさつで見送りました。

「ありがとうございます」

 女神隊員は立って隊員服の上半分を着始めました。が、なかなかうまく着れないようです。

「あ、すみません。ちょっと手伝ってください」

「はい」

 女神隊員は上溝隊員に手伝ってもらって、隊員服を着ることに成功しました。女神隊員は隊員服を着終えると、手元に置いておいたウィッグをかぶりました。これでいつもの女神隊員の姿となりました。

 女神隊員はここで1つため息をつきました。それを見て上溝隊員は不思議に思いました。

「ん? どうしたの」

「いや、ちょっと嫌なことを思い出しちゃって・・・ 私がこの星にきたとき、うなじを集中攻撃されました。なんか、あれを思い出しちゃって・・・」

「あは、トラウマてやつね」

「あのとき私のうなじを撃ったのは橋本さんと倉見さんでした」

「今回あなたを助けたのは、橋本さんと倉見さんよ」

 女神隊員は苦笑とも微笑みともとれる笑みを浮かべ、

「そうですね・・・」

 正直女神隊員の脳裏にはずーっと橋本隊員と倉見隊員へのわだかまりがありましたが、この瞬間すべて消えたようです。

 ここで上溝隊員の発言です。

「あ、そうだ。隊長からの言付けよ。今日の午後は完全休養して、身体を回復させること」

 女神隊員は微笑んで応えました。

「はい、わかりました」


 ここはサブオペレーションルーム。今頭上の巨大なモニターにレーダースコープの映像が映し出されています。それを見ている隊長・橋本隊員・倉見隊員・寒川隊員・上溝隊員。まずは上溝隊員の説明から。

「午前10時12分、未確認飛行物体が大気圏内に侵入。これは四次元レーダーでのみ確認できました。

 続いて午前10時18分、国籍不明機が大気圏内に突入。これはすべてのレーダーで確認しています。

 10時26分国籍不明機は通常レーダーから消滅。四次元レーダーのみで映るようになりました」

 寒川隊員。

「その時間、女神さんは見えない宇宙人と闘っていた」

 隊長。

「うむ、状況的にこの国籍不明機が女神隊員を攻撃したな」

 橋本隊員。

「認識ステルス機能がついた国籍不明機・・・ 今そんな機能がついた飛行機は日本とアメリカにしかないなあ・・・」

 倉見隊員。

「今日本にある対象機はテレストリアルガード保有機のみ。身内がやったとしたら?・・・」

 上溝隊員。

「あの状況で身内と言ったら、私しかいませんよね」

 隊長は上溝隊員を見て、

「お前、ずーっとここにいたんだろ?」

「はい」

「ふっ、だいたいお前、ヘロン号は操縦できなかったよな。操縦できるストーク号は2機とも出払ってた。これじゃ攻撃はできないよな」

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