宇宙人受難之碑 3

 海老名隊員はすでにワラビ採集を始めてます。女神隊員もワラビを採り始め始めました。最初のうちは白い帽子を手元に置いてワラビを採ってましたが、手に付いたワラビの灰汁が真っ白い帽子に付いて汚れが目立つようになりました。で、いつしか白い帽子を無視して採集するようになってました。

 そこに排気音が。女神隊員が振り向くと、1台の白いクルマが走ってきました。女神隊員は慌てて白い帽子のところまで走って行き、帽子を被りました。けど、白いクルマは軽トラックの前を通り過ぎて行きました。女神隊員はふーっとため息をつきました。

 なお、その白いクルマはちょっと離れたところに駐まりました。続けて中の人が降り、ワラビを採り始めました。


 5分後、今度はフルオープンのジープが来ました。女神隊員は今回は白い帽子を手元に置いてあったので、すぐに帽子を被ることができました。

 3人が乗ってきた軽トラックの前にジープが停まり、2人の迷彩服の男性が降りてきました。2人は軽トラックのナンバープレートを覗き込みました。女神隊員が聞き耳を立てると、こんなセリフが。

「これは地権者のクルマだな」

 2人の迷彩服の男性はジープに乗り、行ってしまいました。


 ジープは今度は5分前に来た白いクルマのところに行きました。2人の迷彩服の男性は白いクルマに乗ってきた人と立ち話。しばらくすると、ジープはそのクルマを連れ、どこかに行ってしまいました。

 その一部始終を見ていた女神隊員のところに隊長が来て、

「あの白いクルマは、地権者のクルマじゃなかったんだな。ここでワラビを採ってもいいのは、地権者のクルマで来た者だけなんだよ」

「へ~ 隊長さんの妹さんて偉い人なんだ」

「ふ、別に偉いってわけじゃないよ。たまたま地権者の家にお嫁に行っただけだよ」

 2人は再びワラビを採り始めました。


 1時間くらいして隊長は腰が疲れたのか、腰を思いっきり伸ばしました。

「ぐーっと・・・」

 隊長は女神隊員と海老名隊員を見て、

「そろそろ帰ろうか」

 2人は返事をしました。

「はい」

 3人が軽トラックに乗り込みました。座った並びは来たときと同じ。運転席に隊長、助手席に女神隊員、真ん中に海老名隊員。隊長はハンドルを握り、

「さあ、行くぞ!」

 軽トラックは石ころだらけの悪路を走り始めました。その車内です。激しい振動でやっぱり海老名隊員はしんどそう。

「うわっ、うわわわわ~ もう、隊長! スピード落としてくださいよ~」

 女神隊員は振動で帽子もウィッグも飛んでしまいました。でも、とっても楽しそうです。

「きゃははは」

 隊長は横目でその女神隊員を横目で見て、ふふっと笑みをこぼしました。

 軽トラックが舗装路に出ました。女神隊員はウィッグと帽子を直しながら、

「隊長、来年また来ましょうね」

「ああ、また来年な」

 軽トラックは走り去って行きました。


 数日後、処替わってここは山中。はげ山なのか、樹木はありません。ところどころ草が生えてるだけです。ちょっと離れたところには、ストーク号が駐機してます。

 平らなところでは、何かイベントが行われてます。そこを拡大すると・・・ 何か大きなものに白い布が被せてあります。

「除幕です!」

 その若い女性の声に合わせ白い布が引っ張られると、石碑が現れました。その碑文を読むと「宇宙人受難之碑」

 除幕と同時に、20羽ほどの白い鳩が放たれました。

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