宇宙人受難之碑 2
隊長は困ったて顔で女神隊員を見ました。そしてまた従妹を見て、
「絶対口外しないか?」
「うん、しない」
「ほんと?」
「ほんとだよ」
隊長はまた女神隊員を見て、
「悪いな」
「仕方がないですね」
女神隊員は帽子を取り、さらに前髪のウィッグを取りました。すると巨大な単眼があらわになりました。その超巨大な眼を見て、従妹の顔は半分苦笑、半分恐怖て顔になりました。
「ああ、あはは・・・」
隊長はさらに念を押すように、
「これはテレストリアルガード最重要機密事項だからな。口外したら逮捕だ。覚えておけよ」
と発言。いや、現在テレストリアルガードではそんな機密事項は指定されてないのですが。
隊長は鍵を受け取ると、軽トラックに向かって歩き始めました。
「じゃ、軽トラ借りてくぞ」
海老名隊員と女神隊員も隊長に続きます。
軽トラックが走り始めました。従妹はそれを見送ってますが、まだ顔が引きつってます。足もぶるぶると震えてます。
「あはは・・・」
3人が乗った軽トラックが舗装された林道を走ってます。今日は晴天ですが、森林の中を走ってるせいか、明るさはあまりありません。
車内です。運転してるのは隊長。助手席側には女神隊員。間には海老名隊員が座ってます。隊長は窓の外を見ました。軽トラックは今、ゴルフ場の駐車場の入り口を通過したところです。
「ゴルフ場過ぎたな。そろそろだな」
森林が終わり、あたりは急にぱっと明るくなりました。軽トラックの目の前にゲートが見えてきました。かなり大きなゲートです。その両側にはゲートと同じデザインの金網のフェンスがはてしなく続いてます。ゲートの脇には詰め所があるのですが、今は誰もいないようです。ゲートも開いたままです。軽トラックはそのゲートを止まることなく通り過ぎて行きました。
ゲートの中は起伏に富んだ地形です。ただ、樹木はありません。ほとんどが草、草原です。ゲートの前までは舗装路でしたが、ゲートを過ぎてからは石ころが転がる悪路になりました。その悪路の中を軽トラックが走って行きます。ガタゴタした道に車内の海老名隊員は大変そう。
「う、うわっ」
でも、女神隊員はとっても楽しそうです。
「きゃは」
軽トラックが道端に駐まりました。
「今年はこのあたりにするか」
とつぷやくと、隊長は軽トラックを駐め、ドアを開け、車外に出ました。女神隊員と海老名隊員も軽トラックを降りました。女神隊員は頭上の帽子を取り、それを助手席に置こうとしましたが、海老名隊員がそれを見て、
「あ、帽子は持っていた方がいいですよ」
「え? あ、はい」
女神隊員は帽子を手に取り、帽子を被りました。
隊長は足下に生えてるワラビの根元を指で摘み、その茎を折りました。それをそのまま摘まみ上げ、女神隊員に見せました。
「今日はこれを採って欲しいんだ」
「それは?」
「ワラビ。山菜だよ。食べるんだ」
「へ~」
隊長は今度は別のワラビを指さしました。そのワラビはすでに開いていて、たくさん枝分かれしてます。
「同じワラビでも、ここまで成長してちゃダメだ。硬くて食えないんだ」
隊長は先ほど採ったワラビを女神隊員に見せました。そのワラビは先っぽが小さく丸まってます。
「これくらいのものを採ってくれ」
「はい」
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