橋本隊員奪還作戦 12
女神隊員は左手でジェット機の骨組みを掴み、橋本さんを縛りつけているイスの根本を右手の人差し指で差しました。次の瞬間、女神隊員は指の光弾を発射。イスはちぎられたように跳び上がりました。イスに縛りつけられていた橋本さんはびっくり。
「お、おい?・・・」
女神隊員は右手でイスごと橋本さんを掴みました。女神隊員は橋本さんをイスから開放することは不可能でしたが、ならばと、イスごとジェット機から救出したのです。その間、1秒未満。
ストーク号の隊長はニッコリ。
「ふっ、やったな」
女神隊員の身体が落下し始めました。隊長はそれを見てはっとしました。
「ん?」
女神隊員はそのまま猛スピードで落下していきます。
隊長は焦ります。寒川隊員を見て命令しました。
「お、おい、追い駆けろ!」
「あ、はい!」
ストーク号が追い駆け始めます。しかし、女神隊員は自由落下です。とても追いつけません。隊長は思わず叫びました。
「くっそーっ! あいつ、飛べなかったのかよ?・・・」
どうやら隊長は、女神隊員は当然飛べるものだと思っていたようです。宇宙から来たヒーロー・ヒロインは必ず飛べる。隊長は特撮やアニメを見過ぎてたようですね。
落下中の女神隊員ですが、最後の手段を使う気のようです。
「うおーっ!」
女神隊員は気合を入れると、足下に防御用の青白い光が現れ、ハニカム構造になりました。これで地表面に激突したときの衝撃を和らげる気です。女神隊員の防御用エネルギーは一方向にしか張れませんが、とても強固。それにテレストリアルガードのユニホーム。このアサルトライフルの銃弾を何十発も喰らっても壊れないユニホームが、女神隊員を救ってくれるかもしれません。
女神隊員の足下に海が見えてきました。これだけ高い処から落下すると、海面はコンクリート以上の硬さになります。
女神隊員は橋本隊員を握る手を心臓の当たりにおき、さらにその上に左の掌を添えました。
「うぐぉーっ!」
女神隊員が再び気合を入れると、足下の青白い光がさらにぶ厚くなり、ハニカム構造が二重に、さらに三重になりました。
いよいよ海面が近づいてきました。500m、100m、50m、10m、着水! 女神隊員は直立した状態で着水しました。
ものすごい水柱。そして水煙。その水煙が収束したころ、ようやくストーク号が追いつきました。ストーク号のコックピットから見た海面。そこにうねりはありますが、浮遊する物体は一切ありません。寒川隊員は焦りました。
「い、いない?・・・ 女神さんが消えた?」
しかし、隊長はまたもや見えてました。
「いや・・・」
海底から何かが浮上してきました。それがザバーッと海面に跳び上がりました。まるでクジラのような巨大なシルエット。これは・・・ 女神隊員です。女神隊員は生きてました!
女神隊員は右手を挙げてました。その手にはイスに縛りつけられたままの橋本さんの姿が。橋本さんは思わずつぶやきました。
「ふっ、やるな」
ストーク号の寒川隊員が大変喜んでます。
「やったーっ!」
隊長も笑顔です。
「ふっ、やったな」
が、当の女神隊員はフルフェイスのヘルメットのせいでどんな表情をしてるのか、まったくわからない状況でした。
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