橋本隊員奪還作戦 11

 ここで突然ドアが開き、別の2人の男がバールのようなものを振り上げ、女神隊員に突進してきました。服装からしてどうやら機長と副機長のようです。

「うぉーっ!」

 女神隊員はそっちの方向をチラッとみると、指の光弾を2発発射。その光弾がそれぞれ2人の男の額に命中。

「ぐぁーっ!」

 次の瞬間、今度は初老の男が女神隊員に拳銃を発射。

「バカめっ! よそ見をしやがってっ! 死にやがれーっ!」

 が、弾丸が女神隊員の身体に届く寸前、青白いハニカム構造のバリアが発生。弾丸はひしゃげて、真下に墜ちました。初老の男は唖然としました。

「な、なんだ? 何があったんだ?」

 女神隊員が指の光弾を発射。その光弾が男の右肩に当たりました。

「うがぁっ!」

 男は拳銃を落としました。女神隊員は指で作った拳銃を男に向けながら、スピードを上げ、さらに歩を進めます。男は焦ります。

「や、やめろーっ!」

 女神隊員は男の身体に到達。右手の人差し指を男の額に押し当てました。

「その男を解放して!」

「わ、わかった・・・」

 男はリモコンのような小さな装置をポケットから出しました。

「い、今解放するから・・・ 落ち着け」

 男が装置のボタンを押しました。すると機内に大きな警報音が鳴り響き始めました。

「あはは、バカめ! 自爆装置を押してやったわ。この飛行機はまもなく・・・」

 女神隊員は指の光弾を発射。男の頭は撃ち抜かれ、脳みそが飛び散りました。

 女神隊員は考え込みました。今なら自分1人テレポーテーションで助かることができます。でも、誰かを伴ってテレポーテーションなんか、やったことがありません。だいたい橋本さんは電気イスのような頑丈なイスに縛りつけられたままです。今からほどいて助け出すことは絶対不可能です。

 橋本さんは考え込んでいる女神隊員に声をかけました。

「おい、オレを置いて逃げたっていいんだぞ!」

 女神隊員は何も応えません。考え込んだままです。橋本さんは再び発言しました。今度はさらに大きな声です。

「おい、あのときお前のうなじを撃ったヤツはオレだ! こんな男はほっとけ!」」

「うるさいっ!」

 考え込んでいる女神隊員に橋本さんの声は不快でしかありません。思わず金切り声を出してしまいました。

 そうです、この男は女神隊員を撃ったことがあるのです。あのときは死ぬ寸前まで追い込まれました。いつまた自分に銃口を向けることか・・・ このまま見捨ててストーク号にテレポーテーションしたとしても、間に合わなかったと報告すれば、何の問題もないはず・・・

 けど、今彼女はテレストリアルガードの隊員です。その誇りがそれを許してくれそうにありません。女神隊員は決意しました。


 上空を飛ぶプライベートジェット機がたった今木端微塵に爆発しました。平行して飛んでいたストーク号。そのコックピットの寒川隊員がびっくりしてます。

「な、なんだ? いきなり爆発したぞ?・・・

 女神さんは?・・・」

 が、隊長は何が起きたのか見えてました。

「安心しろ」

 木端微塵になった飛行機の中心に巨大化した女神隊員の姿がありました。

「爆発の原因はあいつだ。あいつが巨大化したんだ!」

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