女神の一番長い日 18
警官は腰ひもを離してしまいました。男は他の警官の手をかいくぐりながらダッシュ。突き飛ばされた警官はそれを見て、
「ふっ、バカなやつ!」
警官は手にしてたリモコンのスイッチを押しました。するとビリビリ! 男の手錠に思いっきり電気が流れました。
「うぐぁーっ!」
男は崩れ落ちました。無残にも白目をむいてます。その一部始終を見てた女神は、恐ろしいものを感じてしまいました。
女神はテレストリアルガードの基地の中で尋問を受けたとき、この手錠をかけられていました。つまり女神も、このような無残な姿を晒していた可能性があるのです。あのとき手錠を解いてくれた人が、今自分の側にいる香川隊長。香川隊長がいなかったら、自分はどうなっていたことか?・・・
隊長が考え込んでいる女神を不思議に思い、声をかけました。
「ん、どうした?」
女神は倒れている男を見て、隊長に質問しました。
「あの人、どうなってしまうんですか?」
「さーな、オレにもわからんな。逮捕後のエイリアンがどこに行くのか、見た者は1人もいないんだ」
ここで女神は先ほどの倉見隊員のセリフを思い出しました。
「なあ、知ってるか? 日本の法律てーのは、地球人を保護するためにあるんだぜ。お前みたいなエイリアンには適用されないんだ」
そうです。今女神には人権がありません。日本の法律の保護下にないのです。テレストリアルガードの隊員という身分だけが、女神を法的に守ってるだけです。誰がなんと言おうと、女神はテレストリアルガードを辞めるわけにはいかないのです。
ここで海老名隊員があることに気づきました。
「そう言えば、もう1人のエイリアンは?」
ここは同じ地区の別の路地です。今寒川隊員がもう1人の男(エイリアン)を追いかけてます。
「待てーっ!」
男は角を曲がりました。が、袋小路、行き止まりでした。寒川隊員がレーザーガンを構え、1歩1歩迫ってきます。
「ふふ、終了だ。おとなしくお縄についてくれよ」
「うう・・・」
男はほぞを噛みました。すると・・・ 男の身体は鈍く光り、そのシルエットはあっという間に巨大化しました。寒川隊員はそれを見て、腰を抜かしてしまいました。
「う、う・・・ うわーっ!」
夕焼けの中、街にドシン、ドシンという音が響いてます。その音を聞いて、木造家屋から次々と人が飛び出てきました。
「なんだなんだ、地震か?」
「うぉーっ!」
その咆哮に人々が振り返りました。その視線は自動的に上へ。そこには夕陽の逆光の中、巨大化した男のシルエットがありました。2階建て木造家屋の5倍以上もある高さです。
「うぉーっ!」
男は再び咆哮をあげました。その声に人々の顔は恐怖にひきつり、次の瞬間巨人とは正反対の方向に駆け出しました。
「うわーっ!」
「怪物だーっ!」
「逃げろーっ!」
その人たちを追いかけるように、巨大化した男がドシン、ドシンと地響きを立てながら道を歩いて行きます。途中電線が足に絡みつき火花が散りますが、男は構わず前進して行きます。
少し離れた位置から香川隊長・女神・海老名隊員がこの巨大化した男を見ています。巨大化したとき衣服は一瞬で砕け散ってしまったらしく、素っ裸です。海老名隊員はそれを見て、びっくりしてます。
「うわおっ、すっごーい!」
隊長もびっくりしてます。
「おいおい、マジかよ。巨大化するエイリアンは初めて見たぞ!」
それを聞いて女神が隊長に声をかけました。
「あ、あの・・・」
隊長は女神を見ると、こう言いました。
「ああ、2人目か」
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