女神の一番長い日 15
上溝隊員が部屋の隅にある造り付けの金庫の扉を開けました。そこには38口径の拳銃くらいの大きさの光線銃が収納してありました。上溝隊員がその光線銃の1つを取りました。
「みなさん、レーザーガンです」
上溝隊員はまず隊長にレーザーガンを渡しました。
「ありがと」
次に倉見隊員、次に寒川隊員が受け取り、その次の海老名隊員は一回り小さいレーザーガンを受け取りました。最後に女神がレーザーガンを受け取ろうとしましたが、倉見隊員が、
「ちょっと待てよ。たった今加入したやつに、そんな危険なものを渡す気か?」
その声を聞いて女神はレーザーガンを受け取る手を止めました。隊長はそれを見て、
「仕方がないなあ・・・ すまんな。今日は丸腰で頼む」
女神は明るい声で応えました。
「大丈夫です」
「うん。
よし、出動だ!」
ここはテレストリアルガードの基地、3階建てのふつーのビル。この建物の一方向は巨大な滑走路に面しており、その反対側には玄関が見えます。玄関の横には格納庫を小さくしたような建物があります。これは駐車場です。この駐車場には数台のクルマが駐まってます。
今セダンタイプのクルマに隊長と海老名隊員と女神が乗車し、その横のオフロードタイプの4WDには倉見隊員と寒川隊員が乗車しました。セダンも4WDもストーク号やヘロン号と同じカラーリングが施されてます。
2台のルーフにはパトロールランプが設置されてます。2台はサイレンと同時にパトロールランプを点灯させ、発進しました。
公道を走るセダンの中です。運転席には隊長、助手席には海老名隊員、後部座席には女神が座ってます。女神の質問です。
「すみません。エイリアンの残党てなんですか?」
隊長はハンドルを握りながら応えました。
「5年前この星はユミル星人に総攻撃を喰らったことがあったんだ」
「ええ、それは先ほど聞きました」
「実はそのとき、我が国はヴィーヴルという軍隊と密かに交渉してたんだ。ヴィーヴルというのは、宇宙の傭兵組織みたいなもんだな。
ユミル星人第二次襲来で我が国は急きょヴィーヴルと契約し、彼らは地球にやってきた。ヴィーヴルの軍事技術はユミル星人をはるかに凌駕していて、ユミル星人は蜘蛛の子を散らすように逃げて行ったんだ。そのせいか、ユミル星人の兵隊がたくさん地球に取り残された。そいつらを見つけて逮捕する、または処分することをテレストリアルガードではエイリアンの残党狩りと言ってるんだよ」
「5年も経ってるのに、まだ残党がいるんですか?」
「ユミル星人が攻めてきたと言っても、実際攻めてきた連中はユミル星人の植民地となった星の住民ばかり。ご丁寧にこの地球の住民と姿形が酷似した人種ばかりを選んできたんだ。万が一があった場合は、地球人に化けてやりすごすつもりだったんだろうな。そのせいで、いまだに残党がいるんだよ」
女神はちょっと考えてしまいました。自分はあまりにもこの星の住民と顔が違うからです。
ここで海老名隊員が発言です。
「あの~ 宇宙人さん、お願いです。ヘルメット脱いでもらえませんか?」
隊長は呆れ顔。
「おいおい、この星の空気に宇宙人をさらしたら、最初に襲来したユミル星人みたいにあっとゆー間に病気になって死んじゃうかもしれないんだぞ。それに彼女がもってるばい菌だって、地球人にどんな病気をもたらすのかわからないし・・・」
「ちぇっ・・・
でも、報告書読んだら、一度顔を晒したことになってますよ」
「それは山奥での話。町でやっちゃだめだろ。もしどうしても見たいのなら、今女神隊員が住んでいる無菌室でやれ」
「はーい」
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