女神の一番長い日 14
ここはサブオペレーションルーム。今引き分けの自動ドアが開き、身長140cm未満の隊員服を着たおかっぱ頭の女の子が入ってきました。彼女が海老名隊員です。
「ただいま帰りました」
隊長はテレビでアニメを見てましたが、海老名隊員を見て柔和な顔を見せました。
「お帰り」
海老名隊員はイスに座るなり、
「宇宙人、来ましたか?」
「ああ、来たよ」
海老名隊員は興味が湧いたようです。顔色がぱっと明るくなりました。
「どんな宇宙人ですか?」
隊長は左手の親指と人差し指で○を造り、それを自分の眉間に置いて、
「眼が一つ」
「ええ?」
「巨大化するし、光線技は使えるし」
「うわっ、すっごーい!」
「ほんとうにすごい人材をゲットしたかもしれないな。ふふ、さっそく試してみるか」
隊長は立ち上がると、隣室のオペレーションルームに入り、コンピューターの前に座りました。海老名隊員もその横に座りました。
なお、サブオペレーションルームとオペレーションルームの間の引き分けの自動ドアは香川隊長の方針で常時開けっ放しとなってるので、実質1つの部屋です。
隊長はキーボードをタンタンタンと指で叩きました。
「シークレットコードを入れてと・・・」
隊長はコンピューターとコードでつながった小さな機械を海老名隊員の前に置きました。
「指紋頼む」
どうやら指紋認証システムのようです。
「はい」
海老名隊員はその機械に左手薬指の腹を置きました。するとピッと音がし、コンピューターのディスプレイに表が現れました。隊長はそれを見て、
「さーて、どれにするか」
海老名隊員はディスプレイの一点を指さして、
「これがいいんじゃないですか?」
「了解」
テレストリアルガードの地下基地内にアラームが鳴り響きました。続けて隊長の声。
「緊急! 緊急! テレストリアルガードの隊員はサブオペレーションルームに集合せよ!」
それを聞いて自室で寛いでいた倉見隊員と寒川隊員は顔を挙げました。女神も慌ててヘルメットを被りました。
女神はそのまま廊下に出て走り、サブオペレーションルームに入りました。中にはすでに隊長と4人の隊員が集まってました。女神はその中の海老名隊員に注目しました。女神と海老名隊員はここで初対面です。海老名隊員はなぜか喜んでます。
「あなたが今度うちの隊員になった宇宙人でしょ!」
「ええ。あなたが海老名隊員?」
「はい。あの~ 顔見せてくれませんか?」
女神はそのセリフにびっくりです。さすがに隊長が横槍を入れました。
「おい、今は仕事中だぞ!」
「は~い」
テレストリアルガードの隊員とは思えないキャビキャビとした女の子です。ただ、女神は感じました。この女の子が放ってるオーラを。そのオーラは自分たち神や女神が持ってるオーラとまったく同じだったのです。
ここからが本題です。まずは隊長の発言。
「エイリアンの残党が見つかったと、たった今警察経由で通報があった。身柄を確保しに行くぞ!」
その命令に隊員全員が返事をしました。
「はい!」
と、隊長は女神を見ました。
「行けるか?」
「はい」
「今日はいろいろあってすまんな」
「いいえ」
と言っても、一つ眼の宇宙人は今断ることができません。断ればテレストリアルガードをクビになる可能性があります。クビになればその後どんなひどい目に遭うのかわかりません。自分の命を考えたら、今は従うしかないのです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます